皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第64回のテーマは、「イライラ・クヨクヨが軽減するリラックス漢方」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、中田早苗さんに教えてもらいました。
漢方でイライラやストレスが軽減するって本当?
仕事や家庭で、現代人は多くのストレスを抱えています。ささいなことでイライラしたり、怒りっぽくなったり、興奮して眠りにつきにくい、将来が不安で抑うつのような状態になっている……と感じることはありませんか?
ストレスを和らげるには、心と体をリラックスさせることが大切です。でも、いきなりリラックスといわれても難しいもの。そこで役に立つのが漢方です。
東洋医学では、自然界のありとあらゆるものを分類するために「五行(ごぎょう)」という考え方があり、それを体に当てはめたのが「肝心脾肺腎(かんしんひはいじん)」という五臓の概念です。
西洋医学における五臓とは異なり、単なる臓器を指す言葉ではなく、もう少し広い意味を持ちます。そして、イライラをはじめとする精神の不安定には、主に「肝(かん)」が関わっていると考えています。
また、ストレスのタイプによって使用する漢方薬は異なり、不調を緩和するにはそれに応じた漢方薬を選択する必要があります。
【タイプ別】リラックス効果のある漢方
ここからは、ストレスのタイプごとに適切な漢方薬をご紹介します。症状のあらわれ方、そして漢方薬にどんな効果があるのかも併せてご紹介します。
漢方薬でストレス改善するには、鎮静作用のある生薬に加えて
・自律神経のバランスを整えて心を穏やかにする
・睡眠の質を上げて、疲れた心を回復する
・消化・吸収機能を改善して体の内側から心を元気にする
などの生薬を含む漢方薬を使い、体質に合わせて根本からの改善を目指します。
1.イライラ・怒りっぽい場合は「抑肝散(よくかんさん)」
肝は気の巡りを調整する役割があります。この肝の状態が思わしくなく、神経や感情のコントロールが不安定になった状態を「肝が高ぶる」といいます。そういったイライラなどの神経症状には「抑肝散」がよく用いられます。
また、虚弱体質の人や慢性的に胃腸症状がある人には、「抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)」が処方されることもあります。
2.興奮して眠りにつきにくい場合は「桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」
体や心を保つ要素である「気(き;エネルギー)」「血(けつ;栄養)」のバランスが崩れると、神経が不安定になり、興奮し慢性的な不眠状態に陥る場合があります。「桂枝加竜骨牡蛎湯」は血を補い、滞った気の流れを整えることで、精神を安定させます。
3.不安感や抑うつがある場合には「香蘇散(こうそさん)」
物事を必要以上に深刻にとらえて不安を感じ、抑うつが目立つ場合には、「香蘇散」がおすすめです。香りのある生薬配合で「気」の流れをよくし、体が虚弱で胃腸が弱い神経質な人の心の症状に使われます。更年期など、女性ホルモンの分泌が不安定になる時期にも用いられます。
4.喉に違和感が出やすい場合は「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」
のどに異物感や違和感がある場合は、「半夏厚朴湯」が適しています。疲労やストレスが原因で「気」の滞りがあると、のどの部分に何かが詰まったような違和感を覚えることがあります。半夏厚朴湯は気の巡りを改善し、のどの違和感を和らげて心を落ち着かせます。
ストレスに対処するリラックス方法
日々の習慣を見直し、ストレスをためにくい生活を送ることでも、心身の不調を和らげることができます。ここからは、手軽にできるリラックス方法をご紹介します。
1.深呼吸
呼吸は生命活動のなかでもっとも基本的なものですが、心と体の緊張を解きほぐすには、腹式呼吸を意識するといいでしょう。一定のリズムで深呼吸を行いましょう。
・おなかに手を当て、肩の力を抜く
・鼻から息を3秒吸い込む
・6秒かけて口から息を吐く
大きく吐くことを意識すると、副交感神経のはたらきも高まります。立って行うよりも、座って行うほうが安定して呼吸できます。できれば5分近くかけて行い、1日に数回繰り返しましょう。
2.アロマテラピー
自律神経を整えてストレスを軽減するためには、アロマテラピーもおすすめです。アロマテラピーとは、木々や草花など、自然の植物から抽出した精油をもとにした芳香療法のことです。好きな香りを基準にし、以下のように目的別に選ぶのもいいでしょう。
・緊張やストレスを感じているなら「ラベンダー」
・心安らかな気分に浸りたいなら「サンダルウッド」
・スッキリとした爽快感を得たいなら「ローズマリー」
・リラックスとリフレッシュを求めるなら「ベルガモット」
3.入浴
お風呂は体の汚れを落とすだけでなく、ストレスで疲弊した心を癒やしてくれる効果があります。リラックス効果を得るには、ぬるま湯で半身浴をするのがおすすめです。あまり熱すぎるお湯に長時間入浴すると、交感神経が活発になりすぎて、かえって睡眠の質が低下してしまいます。温度は38~40度を目安にしましょう。
漢方は体質との相性で正しく選ぼう
漢方薬を選ぶ上で重要なポイントは、体質や症状との相性です。漢方には「気(き)・血(けつ)・水(すい)」や「証(しょう)」といった独自の判断基準があり、それをもとに適した漢方薬を選びます。
漢方薬はその人に合ったものをきちんと選択することが重要です。漢方薬を飲む際には、必ず漢方のプロに相談しましょう。
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深刻に考えすぎないことも大事
怒りを感じてイライラしたり、何でもないことでひどく落ち込んでしまったり……。精神的なストレスは体にも大きな影響を及ぼし、思わぬ不調の原因になってしまう場合もあります。
ストレスのタイプによっても症状のあらわれ方や解決方法は異なります。イライラ・クヨクヨはあまり考えすぎないことも大事。日々の習慣を見直しながら、ストレスがたまりにくい生活を送りましょう。
さて、次回は「かゆみ肌を根本改善する漢方」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
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