前回の記事「整体家が伝授!手のひらだけでわかる“肩こりを引き起こすタイプ”診断」は、手のひらの向きで肩が内巻きに入っているかどうかチェックしました。
手の甲が外を向いてしまうのは普段パソコン作業をしている姿勢そのもの。知らず知らずに内側に入ってしまう力を、日常の少しの意識で外へ外へ戻すようにします。それが肩こりをゆるめるスイッチとなります。
今回は、私が考案した“こりとりウォーク”をご紹介します。ぜひ読みながら実践してください。
■つらい肩こりをゆるめるスイッチは手首にあった
ここからは所要時間たった1秒、肩こりをあっという間にゆるめ、根治にむすびつけるスイッチの入れ方をご紹介します。とはいってもあまりにも簡単な方法なので、どうかみなさん、ズッコケないでくださいね。
肩ゆるスイッチを入れる方法は、手首の向きを90度変えるだけ。もっと具体的には手のひらを正面に向けるだけ。肩こりを治すのに必要なことはたったひとつ、それだけです。
手のひらを正面、つまり手の甲を後ろに向けます。そうして歩くだけで、内に巻いていた肩が自然に矯正され、内側に凹んでいた胸部が前方に突出し、猫背も猫背によって引き起こされるストレートネックも改善されます。
姿勢改善も含めて、肩や背中のこりをとるには、静止している状態よりも、動いている状態で治したほうが効果が出やすい。人体の構造と歩行のメカニズムを考えれば当然のことです。
■手首の向きを変えるだけで肩こりが消える理由
肩よりも肘、肘よりも手首といったように肩からの距離が離れれば離れるほど、4つの働き(遠心力・向心力・てこの原理、振り子の原理)は大きくなります。
つまり腕の付け根から遠くにある場所ほど、内側に巻いて作用も強まるということですから、歩行のときには手のひらが正面になるよう向きを変えて歩けば、内へ内へ回転してくる腕の動きが抑制されます。
それにともなって、内側に巻いてくる肩の動きも抑制されます。
肩を外巻きにすると胸部が突出し、自然に背骨の丸みもなくなっていきます。人体すべての骨格は連結しています。ですから、たった一か所がよくなるだけでも、そこに関わる周囲に変化が生まれます。
■“こりとりウォーク・スタンダード”で得られる効果
たったこれだけで悪い姿勢や慢性的な肩こりが解消されただけでなく、腰痛やヒザ痛、頭痛、顎関節症、さらには自律神経の諸症状や精神疾患にいたるまで、ありとあらゆる症状が改善されてしまったのですから、わたし自身もちょっと驚きです。
この“こりとりウォーク・スタンダード”は歩行全般においてやっていただく方法です。
通勤中、買い物しながら、どんなに短い距離でも歩く時には、こりとりウォークで歩きます。
片手にハンドバッグやカバンを持っているときにも荷物のない片手だけでも手のひらは正面にして歩けば、片方の肩は改善されます。
一定の時間を決めて、荷物を交互に持ち替えましょう。歩行以外でもバスを待っている時も日常のどんな瞬間でも気が付いたときはなるべく手のひらは正面がお約束です。
ある男性のクライアントさんで、こりとりウォークを人前でするのは恥ずかしいと正直におっしゃる方がいました。変なおじさんに思われたくないという気持ちも分かりますが、これは日常でどれほど実践できるかどうかにかかっています。
そういうときは手のひらは少しだけ正面に向けたくらい、つまり、太ももの真横に置いた状態から、(90度がもっとも理想ではありますが、その半分)45度くらいでもかまいません。人通りが少なくなったらまた元に戻します。
このシンプルなメソッドはどこでもだれでもできるものです。
ひどい肩こりの方でもたった2週間で肩こりの症状がなくなりました。毎日の意識の積み重ねが諸悪の根源、内巻き肩を元の位置に戻し、肩こりの根治を目指しましょう。
監修・構成/宮腰圭
取材・文/庄司真紀
指導/宮腰圭(みやこし けい)
整体家。骨と筋代表。アカデミー骨と筋主宰。1969年秋田県生まれ。50年代のアメリカに憧れ、テネシー州メンフィスでバンド活動に励んだのち、30才のときに音楽で生計を立てる道を断念。一転カイロプラクティックの道を志し、日本カイロプラクティックカレッジに入学。2001年より米国政府公認ドクター中島旻保D.Cのセンターに勤める。2006年より中目黒にて開業し、2010年にはスクールを開校。現在は秋田と東京に拠点を置き、施術や整体家の育成に努める。誰もが自分で治せる療法の開発にも力を入れており、セルフメソッドの発明王!との異名をもつ。著書に「1日10分歩き方を変えるだけでしつこい肩こりが消える本」「1日30秒足を振るだけでしぶとい腰痛が消える本」などがある。骨と筋(http://www.pelvickm.com)
【参考図書】
『1日10分歩き方を変えるだけでしつこい肩こりが消える本』
(宮腰圭・著、本体1,300円+税、サンマーク出版)