皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか?「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第56回のテーマは、「咳に効く漢方薬」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、竹田由子さんに教えてもらいました。
つらい咳の原因とは?
漢方医学では、咳は体内の水分代謝や気の巡りのトラブルなどが原因で引き起こされると考えられています。つらい咳を引き起こす、代表的な状態について解説します。
1.肺陰虚(はいいんきょ)
肺陰虚とは体内の「水(すい)」が不足して、肺をうるおす働きが低下している状態です。漢方医学では体液や唾液、胃液、汗のような分泌液・排泄液などの水分を「水」と呼びます。
肺陰虚ではのどや気管支粘膜の乾燥による乾いた咳が出やすく痰は少なめ、またはネバネバして吐き出しづらい痰を伴います。
2.痰湿(たんしつ)
痰湿とは体のなかに余分な水分が滞って、水分代謝が低下している状態のこと。水分の摂りすぎが原因で引き起こされるケースが多く、水太り傾向や倦怠感・冷えなどに悩まされる方もいます。
痰湿では、痰を伴う咳やのどの渇き、鼻炎や花粉症などの不調が出やすいとされています。
3.気逆(きぎゃく)
気逆とは、体内を巡るエネルギーである「気(き)」が本来の流れとは逆方向で流れている状態のことで、冷えやのぼせ、イライラなどのトラブルが生じやすいのが特徴です。
気逆によって、のどや食道の違和感を伴う咳が出る場合もあります。
咳を緩和する漢方
解説した咳の原因ごとに、適した漢方薬をご紹介します。
1.肺陰虚に効く漢方
麦門冬湯(ばくもんどうとう)は肺陰虚に用いられる代表的な漢方薬です。痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支ぜんそくなどに効果があります。
2.痰湿に効く漢方
痰湿による咳には、小青龍湯(しょうせいりゅうとう)がよく用いられます。水分代謝を促して体内の水分バランスを整える働きがあり、気管支炎・鼻炎などにおける水っぽい痰や咳などに有効です。
3.気逆に効く漢方
気逆による咳に用いる漢方薬としては、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)が挙げられます。気の巡りを整えて咳やしわがれ声を改善する効果があり、不安神経症や神経性胃炎などに用いられる場合もあります。
漢方は体質との相性で正しく選ぼう
「しっかり静養しても、なかなか咳がおさまらない」
「のどがすっきりせず、イガイガした感じが長引いている」
などの症状でお困りの方には、医薬品として効果が認められている漢方薬がおすすめです。
咳の改善には、「肺にうるおいをあたえる」「気管支を広げて呼吸をしやすくする」「自律神経のバランスを整えて咳やのどのつかえを改善する」「酸素や栄養を肺に届け、呼吸器の機能を回復する」「免疫力を高める」などの働きのある生薬を含む漢方薬を選びます。
漢方薬は天然の植物や鉱物などの生薬を組み合わせて作られているため、 一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
また、漢方薬は苦痛を和らげるための対症療法だけではなく、根本的な症状の改善や、病気にならないための健康づくりを目的としています。体質の改善に働きかけることのできる漢方薬は、「同じ症状を繰り返したくない」という思いに応えてくれます。
咳に効果のある漢方薬は、先の「咳を緩和する漢方」でお伝えしたもの以外にも様々な種類があります。
咳でお悩みの方におすすめの漢方薬
・滋陰降火湯(じいんこうかとう):のどにうるおいがなく、痰が出づらくて咳込んでしまう場合や乾いた咳の場合に用いられます。
・麻黄湯(まおうとう):寒気や熱がある方の風邪症状や、ぜんそくなどに用いられます。
ただし、漢方薬を選ぶときには、ご自身の症状や体質に合ったものを選ぶことが欠かせません。ご自身の咳に適した漢方薬を選ばないと、効果が不十分になるだけでなく、副作用が起こる場合もあるので注意しましょう。
購入時には、できるだけ漢方に精通した医師や薬剤師に相談することが大切です。
「お手頃価格で不調を改善したい」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。
AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。お手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。
●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0131
ご自身の咳にぴったり合った漢方薬を見つけよう
咳に効く漢方薬には、たくさんの種類があります。しかし、ひとことで「咳」といっても、乾燥した咳や湿り気のある咳、痰の有無など状態は様々。症状や体質を見極めて、ご自身の咳に合った漢方薬を選ぶことが大切です。
漢方薬を選ぶときは、専門家に気軽に相談してみましょう。ご自身にぴったりな漢方薬を見つけて咳の悩みを解消し、すこやかな毎日を送ってくださいね!
さて、次回は「倦怠感を和らげる漢方薬」です。ぜひご覧ください。
<この記事を書いた人>
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