快眠の鍵を握る３つのアミノ酸｜睡眠の質を高める食材とは【60歳からの睡眠の新常識】２

「睡眠は健康を保つために大切なもの」とわかっていながらも、なかなか寝つくことができない、眠りが浅いなどの睡眠トラブルが続くと、「もっとしっかり寝なければ」と焦ることがありますよね。

しかし、健康を保つための眠る力は50歳くらいから徐々に衰えていくので、若いときのように眠れなくなっていくのは自然なことなのだそう。眠れないからといって不安になるのではなく、「睡眠力の衰えを受け入れ、自分に合った睡眠リズムを作ることが大切」と説く『60歳からの睡眠の新常識』から、睡眠力の衰えを補うコツをご紹介します。

監修／坪田 聡（医師・医学博士）

快眠の鍵を握る３つのアミノ酸

睡眠によい食べ物を意識して取ることは、心地よい眠りへの近道。おすすめの成分・食材を紹介します。中でも「トリプトファン」「グリシン」「GABA（ギャバ）」の３つは、快眠のためには特に摂取してほしい成分です。

気持ちが安らぎぐっすり眠れる｜トリプトファン

体内で生成できないため、食べ物として摂取する必要がある8種類ある必須アミノ酸 のひとつ。幸せホルモン「セロトニン」と睡眠 ホルモン「メラトニン」の材料になるため、十分に摂取することで、日中の気持ちの安定 と、夜の安眠効果が期待できます。特に朝食時にたっぷり取るのがおすすめです。サプリメントで大量に摂取すると健康障害を引き起こす可能性が高まりますので注意が必要です。なるべく食べ物からの摂取を心がけましょう。

深く眠れて美肌効果も｜グリシン

たんぱく質を構成するアミノ酸のひとつで、 手足の血管を広げ血液の流れを増やす作用 があります。それにより入眠時の体温低下がスムーズになるため、寝つきがよくなり、 深い眠りにつきやすくなります。起床時には疲労が少なく気分がよくなるため、睡眠に不満のない人でも、摂取することで日中のパフォーマンスアップが期待できます。また肌のコラーゲンの主成分のひとつでもあるため、皮膚のバリアー機能が高まり、肌の状態が改善します。

リラックスして認知症予防｜GABA（ギャバ）

アミノ酸の一種で、神経伝達物質のひとつです。体を活動的にさせる交換神経の働きを抑えて体をくつろがせる副交感神経を助ける働きがあり、夜に自然な眠気を強めてくれます。不安やイラつきを落ち着かせて血 圧を下げる効果があり、アルツハイマー型認知症の予防や症状改善、肝臓や腎臓機能の改善、肥満防止への効果も期待されています。おすすめは１日に10 ~20 mgを摂取すること。リラックス効果が期待できるのは摂取後２時間ほどです。

逆になるべく控えたいのは、消化の悪いもの。また生活習慣病は睡眠障害の危険を高めるため、高血圧や脂質異常症のもとになる、塩分やコレステロール、飽和脂肪酸の多い食事も避けましょう。お酒の飲みすぎもいけません。

高齢者に必要な食材を一覧表にまとめてあるのでチェックしてみてください。

睡眠の質を高める食材一覧表

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『60歳からの睡眠の新常識』　坪田 聡 監修
宝島社

坪田 聡（つぼた・さとる）
医師・医学博士。雨晴クリニック院長。日本睡眠学会、日本医師会所属。医師として診療にあたるうちに、睡眠障害がほかの病気の発症や経過に深く関係していることに気づき、高齢者を中心に睡眠障害の治療を開始。その後、治療から予防に診療をシフトし、「快眠で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、睡眠の質を向上させるための指導や普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチの資格を取得し、睡眠コーチングを創始。2007年から総合情報サイト「All About」の睡眠ガイドとして、インターネット上で睡眠情報を発信中。著書に『睡眠は50歳から「老化」する』（大和書房）、『女性ホルモンが整う オトナ女子の睡眠ノート』（総合法令出版）、『朝５時起きが習慣になる「５時間快眠法」』（ダイヤモンド社）などがある。