毎晩、良く眠れていますか? という質問に対して、どれだけの方がYESと答えられるでしょうか。
株式会社ブレインスリープ(https://brain-sleep.com/)は、全国47都道府県の1万人を対象に、睡眠習慣、生産性やストレスの程度、睡眠時無呼吸症候群 (SAS)のリスクを含む、睡眠についての調査を実施しました。「睡眠偏差値®」2020年版として発表され、いくつかの興味深い結果が明らかになりましたので、詳しくご説明します。

​ ■破綻傾向だった睡眠負債が改善傾向に

昨年の調査では、日本の平均睡眠時間は6時間27分でした。これは、世界一睡眠時間が短いとされたOECD発表のデータよりもさらに55分も短い結果でした。

今年の調査では、日本の平均睡眠時間は6時間43分と、昨年より16分長くなっていることが分かりました。大きな改善の一歩を踏み出した、日本の睡眠時間ですが、OECD加盟国の平均睡眠時間は8時間25分! その差はまだ1時間42分もあります。

また、最低睡眠時間として推奨される、睡眠時間7時間を超える人は、全体の40%に留まりました。

■変則的なリモートワークは、睡眠の質を低下させる可能性

新型コロナウイルスは働き方にも大きな変化をもたらしました。特に「リモートワーク」という新たな勤務形態が、急速に広まったことが特徴です。2020年4月に行った調査では、リモートワークの広がりから、生活全体が後ろ倒しの夜型傾向になり、生活リズム・睡眠リズムが乱れ、睡眠の質の低下が見られました。
今回の調査ではリモートワークの有無・頻度と、睡眠の質の関係性を分析したところ、新たな傾向が見られました。

「ほぼ毎日リモートワークを行っている人」と「リモートワークを全くしたことがない人」の睡眠の質が、他の勤務形態の人の睡眠の質と比べて有意に高いことがわかりました。逆に睡眠の質が最も悪かったのは、「週に1~2回リモートワークを行っている人」でした。

この結果は、「ほぼ毎日リモートワークを行っている人」と、「リモートワークをまったくしたことがない人」たちで睡眠の質がよかったことを踏まえると、リモートワークの有無が原因ではなく、毎日一定のリズムで生活ができているかどうかが、より重要であることを示唆しています。

規則正しい生活は、睡眠の質の確保に不可避です。不定期にリモートワークを行っている人たちは、生活のリズムを保ちにくかったのではないでしょうか。

■睡眠と、風邪・インフルエンザ・新型コロナウイルス

今回の調査では、人々の睡眠状態の違いが、コロナ禍における体調変化と、強く関係する可能性があることがわかってきました。

2020年1月~2021年1月末の期間、「風邪・インフルエンザ・新型コロナウイルスにより体調不良があった」または「体調不良を感じた人」と、「体調良好だった人」で睡眠偏差値を比較すると、体調不良を感じた人の方が、有意に睡眠偏差値が低い結果となりました。

特に、新型コロナウイルスの疑いがあった人、その中でもホテル療養を行った人の睡眠の質がとりわけ低い結果となりました。ここから免疫力の低下が、睡眠の質の問題に起因している可能性が考えられます。

米国の例で見てみると、毎年季節性インフルエンザで2万人から6万人程度の方が亡くなっています。その対策に関連して、十分で良質な睡眠が風邪やインフルエンザの感染を予防する、といった結果が強調されてきました。
今回の調査は、日本でも同様の結果が得られたと言えます。

■業種・年代別にみる睡眠

調査対象者を業種別・年代別に分類し、各分類での睡眠偏差値の平均値を調べました。
特定の年代に焦点を当てると、20代で偏差値50を上回ったのは1業種のみで、その他すべての業種で平均の偏差値50を下回った一方で、50~60代においては、逆に1業種以外すべてで平均を上回りました。

全年代での平均値を業種別にみると、「マスコミ・広告」業種に従事している人の、睡眠偏差値の平均値が、全業種で最も低いことがわかりました。また時差が伴うことが多い「商社」業種の人も、続いて低いことが判明しました。
業種によっては、夜勤や昼夜逆転の業務を強いられ、質の高い睡眠をとることができず、睡眠負債が日々蓄積することを避けられない方々がいます。また新型コロナウイルスによって、働き方が大きく変化せざるを得ない業種もあったと思われ、こういった業種の方々は睡眠偏差値においても大きな影響が出ていると考えられます。こういった点について、今後さらに詳しい解析を行い、職種別の影響を明らかにしてきたいと考えています。

睡眠偏差値®とは
睡眠を評価する際、しばしば睡眠時間の単純な定量データだけに注目が集まります。しかし、もっと多角的で総合的な観点から睡眠を評価することが重要なことから、睡眠に関する自覚症状や、睡眠習慣を含む幅広い視点で、主観的評価を定量化する質問群を作成しました。さらに日本人に馴染みのある「偏差値」として数値化することで、日本人全体の中での、相対的な睡眠状態を把握することを可能にするシステムです。

***

新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症罹患に関連して、コロナ禍では特に、規則正しい生活を心がけ、生活リズムを保つ事が大切なことがわかりました。

たとえ新型コロナウイルス感染症のワクチンを接種しても、十分な睡眠を取らないと抗体ができにくく、感染予防が十分でない可能性があります。ワクチン接種が始まっても良質な睡眠を得ることにより、免疫力をアップさせる心がけは重要です。

【調査概要】
調査手法:web調査
対象地域:全国
対象者条件:男女
サンプル数:n=10,000ss
調査実施期間:2021年1月
※昨年と一部対象者、調査項目を変えて調査を行っております。

 

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