皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの? 」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第10回のテーマは、「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、篠原明宏さんに教えてもらいました。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)とは
効能・効果
防風通聖散は脂肪細胞を活性化し脂肪を分解して燃焼する働きがあり、ダイエットや肥満症を解消するために用いられます。また、代謝を上げ、余分な水分や老廃物を尿や便として排出してくれます。
高血圧、のぼせや動悸、肩こり、むくみなどに悩む方にも向いているほか、皮膚炎や湿疹、にきびなどの吹き出物や、蓄膿症(副鼻腔炎)に使われる場合もあります。
また脂肪細胞を活性化することで、おなかの脂肪を分解・燃焼、脂質の吸収を抑制、脂質を便と一緒に排出するなどの作用があることも解明されています。
基本の飲み方
防風通聖散は空腹時に飲む方が吸収がよく、効き目がよく出るとされています。食前(食事の約30分前)や食間(食後から約2時間後)に、水またはぬるま湯で服用します。きちんと決められた量を守り、正しく服用してください。飲み忘れた場合でも2回分を一気に飲んではいけません。
即効性はありませんが、2週間~1か月で徐々に効果が感じられます。1か月以上服用しても体や症状に改善がみられない場合は、医師や薬剤師に相談してください。
防風通聖散はどんな人におすすめ?
防風通聖散は比較的体力があり、おなかがぽっこりしていて、暑がりな方に向いています。逆に冷え性の方や、疲れやすく、胃腸が弱い方には向いていません。その他にどんな方が向いているのか、具体的に例を3つご紹介します。
1.つい食べすぎてしまう人
過食や暴飲暴食など、食生活が乱れている人は胃腸も熱を持っています。防風通聖散は余計な熱を取り、脂質代謝を上げて皮下脂肪を燃焼させる効果があるので、ダイエットにも向いています。
しかし、防風通聖散を飲んでいるだけで自動的に痩せるわけではありません。重要なのは食事と運動にも気を遣うことです。脂質や糖質は摂りすぎず、揚げ物、肉などカロリーの高いものを控える、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を習慣的に行うなど、日々の生活から見直すことで、漢方薬の効果を感じやすくなります。
2.便秘がちな人
一般的に、3日以上排便がない、または残便感がある状態を便秘といいます。男女問わず加齢とともに便秘で悩む方は多い傾向にあり、腸の吸収力低下、水分量の不足、筋力の低下など様々な理由から便が出にくくなります。
防風通聖散に含まれる大黄(だいおう)や芒硝(ぼうしょう)という生薬は、腸に作用し便秘を改善してくれます。また、防風通聖散には余分な脂質の吸収を抑え、脂質と一緒に便を排出してくれる効果もあります。
3.肥満体型・高血圧でのぼせや肩こりがある人
防風通聖散は高血圧症にともなうのぼせや肩こり、動悸などにも効果があります。肥満症や高血圧症の治療は、東洋医学(漢方)と西洋医学を併用する統合医療が一般的です。
血圧そのものを下げるには西洋医学の降圧剤が有効ですが、高血圧にともなうのぼせ、肩こりなどの自覚症状には漢方が役立ちます。漢方は体質の改善に働きかけることができるので、西洋医学と組み合わせることによってより効率的に治療を行えます。
防風通聖散に副作用はある? 安心して服用するには
防風通聖散は副作用リスクの低い漢方薬ではありますが、絶対に副作用が起こらないとはいえません。たとえば、皮膚に発疹があらわれたり、かゆみが起きたり、吐き気や嘔吐、胃の不快感や腹痛や下痢が起きる場合もあります。
また、めまいや発汗、頭痛などの可能性のほか、重篤な副作用として間質性肺炎、肝機能障害などが起きる場合があります。これらはめったに起きない副作用ではあるものの、異常を感じた場合は医療機関で医師の診察を受けてください。
漢方薬でもっとも大事なことは、それぞれの人の体質に合った適切な漢方薬を選ぶことです。どれだけいい漢方薬でも体に合わなくては効果を最大限に発揮することができません。
そこで役に立つのが医師や薬剤師といった漢方のプロフェッショナルです。最近では、医療チームとAIがあなたに合った漢方薬を選んでくれる「あんしん漢方」というオーダーメイド漢方のオンラインサービスも注目を集めています。
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おなか周りの脂肪が気になるなら防風通聖散がおすすめ
今回は「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」をご紹介しました。防風通聖散は、皮下脂肪や便秘改善、肥満症・高血圧にともなう諸症状など、様々な不調の改善に働きかけることができます。
漢方薬は効果・効能が幅広く、いろいろな症状に対応できるところも魅力のひとつです。医師や薬剤師に体質や症状に合った漢方薬を選んでもらい、正しく服用することが大事です。
次回は「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」をご紹介します。ぜひご覧ください。
<この記事を書いた人>
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