30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修し、脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた内野勝行先生の著書『1日1杯 脳のおそうじスープ』から、衰えてきた脳に必要な「脳のクリーニング」についてご紹介します。

文 /内野勝行

病気のリスクを高める活性酸素の発生をできるだけ抑える

ここでもうひとつ、アミロイドβと同様に脳のゴミと言っても語弊がない怖い物質、 「活性酸素」について触れておきたいと思います。

「体のサビ」という言葉を聞いたことはないでしょうか? ピンとこない方もいるかもしれませんね。

鉄クギを長期間空気にさらしたときの状態をイメージしてみてください。 鉄クギは赤くサビつき、いずれはボロボロになってしまいますよね。 これは鉄が空気中の酸素と結合することで酸化した結果、発生する現象です。これと同じような酸化現象が体内でも発生しています。このサビを引き起こす原因こそ、活性酸素です。

これは、呼吸をすることで体内に取り入れられた酸素の電子構造が不安定になって変異した物質。体内に侵入した細菌などを退治して除去するという有用な働きをする反面、過剰に発生すると細胞膜を破壊し、細胞内に侵入して遺伝子の基である「DNA」を直接攻撃して、傷をつけて変異させてしまうのです。

体のサビ化が進むと、老化が進行したり、ときにはがん細胞の発生を誘発することすらあります。 つまり、体内の活性酸素の量が多いほど、さまざまな病気にかかるリスクが高まるということです。

残念ながら、人間が呼吸をしているかぎり、活性酸素は必ず発生してしまいます。一般的には、呼吸によって取り入れた酸素のうちのおよそ 2~3%が活性酸素になるといわれています。

そして、この活性酸素の発生をさらに増幅させる作用もアミロイドβにはあるので す。アミロイドβ自体が活性酸素を作り出し、脳神経細胞を死滅させて、アルツハイマー病を発症させるという研究報告も発表されています。

つまり、アミロイドβの蓄積量が増えれば増えるほど、活性酸素の発生量も増えて、 脳はどんどんサビついてしまうことになります。

実際、アルツハイマー病の人の脳を見ると、シミのようなものができています。これは「老人斑」と呼ばれるものですが、このシミを発生させるのが活性酸素であるというのです。これぞまさしく脳のサビで、そのシミのあるところにアミロイドβが溜まっている わけです。これは、アミロイドβと活性酸素が一体となって脳をサビつかせ、壊している証拠といえるでしょう。

こうしたことから、活性酸素を発生させる要因を排除し、発生してしまった活性酸素を取り除く対策も大切です。

活性酸素を増やす要因

活性酸素を増やさないよう、以下の点に気をつけましょう。

●紫外線
●喫煙
●環境汚染
●強いストレス
●加工食品の食べ過ぎ
●過度な飲酒
●酸化した油を摂る
●激し過ぎる運動

「脳のおそうじスープ」の“素”の作り方

【材料(約8杯分)】
・トマト:大1個(200g)
・蒸し大豆、くるみ:各50g
・桜えび:10g
・すりごま:大さじ3(18g)
・ツナ缶(ノンオイル):2缶(140g)
・塩:小さじ1(6g)
・中濃ソース:大さじ1(18g)
・こめ油:少々

【作り方】
1 トマトをおろし金ですりおろす。
2 蒸し大豆とくるみを保存袋(大)に入れてくるみを砕きながら揉む。
3 2に1とその他の材料を入れる。
4 揉み混ぜてから平らにして冷凍保存する。

スープを飲むときは、冷凍庫からスープの素を60gほど割って取り出し、熱湯150mlを注ぎ、こめ油を少し垂らす。摂る頻度は1日最低1杯、時間帯はいつでもかまわない。

なぜ「脳のおそうじスープ」は効くのか

内野院長は、このスープには「脳の状態を整えるうえで有効な栄養素や機能成分が余すところなく含まれています」と説く。

例えば、ツナ缶のマグロの脂に含まれるDHAやEPA。これらは、血液サラサラ効果が高い点で特筆すべき栄養素だという。実は、アミロイドβ=「脳のゴミ」対策の前提として必要なのが、「血の巡りを良くしておくこと」。血管内に中性脂肪や悪玉コレステロールが多いと、いわゆる「ドロドロ血液」になる。こうなると、脳のゴミは血流に乗って体外へと排出されにくくなってしまう。また、認知症の2~3割は、「脳梗塞や脳出血・くも膜下出血など、脳の血管の病気によって引き起こされる脳血管型」だそうで、その意味でも、血液をサラサラの状態に保っておくことは重要。そのため、ツナ缶はスープの主要素材の一つとされている。

そして、トマトや桜えびには、抗酸化物質であるリコピンやアスタキサンチンが含まれている。内野院長は、アミロイドβ並みに怖い、ある種の脳のゴミとして活性酸素を挙げる。最近よく耳にする活性酸素は、普通の生活をしていても体内で発生する。これが過剰に発生すると、「さまざまな病気にかかるリスクが高まる」だけでなく、「アミロイドβの蓄積も促進」されるという。さらに、アミロイドβが活性酸素を作り出し、アルツハイマー病を発症するという研究報告もあるそうで、それを防ぐ抗酸化物質は、脳のおそうじの力強い味方になる。

* * *

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内野勝行(うちの・かつゆき)
30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修した名医。帝京大学医学部医学科卒業後、都内の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て現在、金町駅前脳神経内科院長。脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた経験を基に、脳をクリーニングする「脳のおそうじスープ」を開発した。フジテレビ「めざましテレビ」やテレビ朝日「林修の今でしょ! 講座」などテレビ出演多数で、様々な医療情報番組の医療監修も務める。

 

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