30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修し、脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた内野勝行先生の著書『1日1杯 脳のおそうじスープ』から、衰えてきた脳に必要な「脳のクリーニング」についてご紹介します。

文 /内野勝行

「アミロイドβ」を溜めない対策は、45歳から講じたほうが良い

認知症を発症している方の6割強はアルツハイマー病患者、つまり、アルツハイマ ー型認知症です。

この病気は、脳神経細胞が減って脳が萎縮していく病気です。 初期段階では、脳の「海馬」という部位の脳神経細胞が減って萎縮しはじめ、症状 が進むと、脳全体が萎縮して知能や身体機能も衰え、最終的に死に至ることもありま す。アルツハイマー病の初期症状として、物忘れなどが発生する理由は、海馬が記憶の貯蔵庫だからです。

脳に入ってきた情報はいったん海馬に送られ、その情報が必要か不要かを判断し、 必要な情報だけが脳の大脳皮質という部位に送られ、長期的な記憶として定着します。 海馬が萎縮して機能が低下すると、この選別機能も低下し、必要な情報を覚えられなくなったり、逆に不要な情報を記憶として定着させてしまったりするわけです。

問題は、明らかな症状が出る頃には、脳がだいぶ縮んでしまっていることが多く、 現時点ではそれを治す手だてがないということです。

しかし、最近では進行をゆるやかにする薬があるため、初期の段階で正しく診断し、 治療により進行を遅らせることはできます。

アルツハイマー病の発症原因は明確ではないのですが、「アミロイドβの溜まり病」などと表現されることもあるほど、発症原因の最有力候補として挙げられているのが、「アミロイドβ」です。アミロイドβとは、脳神経細胞を死滅させる毒性の高いタンパク質の一種です。

個人差はありますが、アミロイドβの蓄積から約15~20年でアルツハイマー病が発症するといわれています。

つまり、認知症が70歳で発症すると考えると、アミロイドβを溜めない、あるいは 排出を促す対策は、 45歳から講じたほうが良いということになるわけです。

アルツハイマー病が発症するメカニズムに関してはいまだわからないことが多く、 「これを行えば、完全に認知症は防げる」とは言い切れません。ただし、早くから脳のおそうじを行えば、アルツハイマー病の発症時期を先送りにできることは間違いありません。

「脳のおそうじスープ」の“素”の作り方

【材料(約8杯分)】
・トマト:大1個(200g)
・蒸し大豆、くるみ:各50g
・桜えび:10g
・すりごま:大さじ3(18g)
・ツナ缶(ノンオイル):2缶(140g)
・塩:小さじ1(6g)
・中濃ソース:大さじ1(18g)
・こめ油:少々

【作り方】
1 トマトをおろし金ですりおろす。
2 蒸し大豆とくるみを保存袋(大)に入れてくるみを砕きながら揉む。
3 2に1とその他の材料を入れる。
4 揉み混ぜてから平らにして冷凍保存する。

スープを飲むときは、冷凍庫からスープの素を60gほど割って取り出し、熱湯150mlを注ぎ、こめ油を少し垂らす。摂る頻度は1日最低1杯、時間帯はいつでもかまわない。

なぜ「脳のおそうじスープ」は効くのか

内野院長は、このスープには「脳の状態を整えるうえで有効な栄養素や機能成分が余すところなく含まれています」と説く。

例えば、ツナ缶のマグロの脂に含まれるDHAやEPA。これらは、血液サラサラ効果が高い点で特筆すべき栄養素だという。実は、アミロイドβ=「脳のゴミ」対策の前提として必要なのが、「血の巡りを良くしておくこと」。血管内に中性脂肪や悪玉コレステロールが多いと、いわゆる「ドロドロ血液」になる。こうなると、脳のゴミは血流に乗って体外へと排出されにくくなってしまう。また、認知症の2~3割は、「脳梗塞や脳出血・くも膜下出血など、脳の血管の病気によって引き起こされる脳血管型」だそうで、その意味でも、血液をサラサラの状態に保っておくことは重要。そのため、ツナ缶はスープの主要素材の一つとされている。

そして、トマトや桜えびには、抗酸化物質であるリコピンやアスタキサンチンが含まれている。内野院長は、アミロイドβ並みに怖い、ある種の脳のゴミとして活性酸素を挙げる。最近よく耳にする活性酸素は、普通の生活をしていても体内で発生する。これが過剰に発生すると、「さまざまな病気にかかるリスクが高まる」だけでなく、「アミロイドβの蓄積も促進」されるという。さらに、アミロイドβが活性酸素を作り出し、アルツハイマー病を発症するという研究報告もあるそうで、それを防ぐ抗酸化物質は、脳のおそうじの力強い味方になる。

* * *

『記憶力アップ×集中力アップ×認知症予防
1日1杯脳のおそうじスープ』

Amazonで商品詳細を見る

楽天市場で商品詳細を見る

内野勝行(うちの・かつゆき)
30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修した名医。帝京大学医学部医学科卒業後、都内の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て現在、金町駅前脳神経内科院長。脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた経験を基に、脳をクリーニングする「脳のおそうじスープ」を開発した。フジテレビ「めざましテレビ」やテレビ朝日「林修の今でしょ! 講座」などテレビ出演多数で、様々な医療情報番組の医療監修も務める。

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2024年
4月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店