30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修し、脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた内野勝行先生の著書『1日1杯 脳のおそうじスープ』から、衰えてきた脳に必要な「脳のクリーニング」についてご紹介します。
文 /内野勝行
理想は「一汁三菜」。栄養バランスのとれた食事を1日3食
「アミロイドβ」を除去したり、弱毒化する方法は、すでにいくつか提唱され、実際に効果をあげているという研究結果もいくつか報告されています。アミロイドβとは、脳神経細胞を死滅させる毒性の高いタンパク質の一種です。
その大きな要因が食事。
アミロイドβは、発生量を抑え、体外への排出を促して溜めないことが大切ですが、 それを直接コントロールできるのが食品に含まれる栄養素だからです。基本は栄養バランスのとれた食事を1日3食きちんと摂ること。
そして、アミロイドβを溜めない、排出を促す働きがある栄養素はいくつか判明しているので、それらの栄養素を豊富に含んだ食品を積極的に食べることで、より効率的にアミロイドβの発生量を抑え、排出できるようになります。
忘れてはならないのは、栄養素は単体で摂っても、それぞれがもつ良さを生かすことができないということです。
たとえば、サプリメントでビタミン剤を飲んだとします。しかし、ほかの栄養素が不足していれば、ビタミン剤に含まれる栄養素は期待できる効果を発揮できません。栄養素とは、互いに助け合うことで、本来の力を発揮できるからです。
その点、食品にはさまざまな栄養素が含まれています。肉や魚のおかずとごはん、野菜のおひたしなどを一緒に食べれば、さまざまな栄養素が自然に助け合って、それぞれの持つ力を存分に発揮してくれます。
こういったことから私は、認知症、または認知症の疑いのある患者さんで食生活に問題がありそうな方には、はじめに食事内容の見直しをお願いすることにしています。
栄養バランスのとれた食事と漠然と言われても……という方には、我々日本人にとって非常に身近な和食をおすすめしています。
理想は「一汁三菜」、食が細い方なら「一汁一菜」を心がければ、自然と栄養バランスがとれるようになるでしょう。
「脳のおそうじスープ」の“素”の作り方
【材料(約8杯分)】
・トマト:大1個(200g)
・蒸し大豆、くるみ:各50g
・桜えび:10g
・すりごま:大さじ3(18g)
・ツナ缶(ノンオイル):2缶(140g)
・塩:小さじ1(6g)
・中濃ソース:大さじ1(18g)
・こめ油:少々
【作り方】
1 トマトをおろし金ですりおろす。
2 蒸し大豆とくるみを保存袋(大)に入れてくるみを砕きながら揉む。
3 2に1とその他の材料を入れる。
4 揉み混ぜてから平らにして冷凍保存する。
スープを飲むときは、冷凍庫からスープの素を60gほど割って取り出し、熱湯150mlを注ぎ、こめ油を少し垂らす。摂る頻度は1日最低1杯、時間帯はいつでもかまわない。
なぜ「脳のおそうじスープ」は効くのか
内野院長は、このスープには「脳の状態を整えるうえで有効な栄養素や機能成分が余すところなく含まれています」と説く。
例えば、ツナ缶のマグロの脂に含まれるDHAやEPA。これらは、血液サラサラ効果が高い点で特筆すべき栄養素だという。実は、アミロイドβ=「脳のゴミ」対策の前提として必要なのが、「血の巡りを良くしておくこと」。血管内に中性脂肪や悪玉コレステロールが多いと、いわゆる「ドロドロ血液」になる。こうなると、脳のゴミは血流に乗って体外へと排出されにくくなってしまう。また、認知症の2~3割は、「脳梗塞や脳出血・くも膜下出血など、脳の血管の病気によって引き起こされる脳血管型」だそうで、その意味でも、血液をサラサラの状態に保っておくことは重要。そのため、ツナ缶はスープの主要素材の一つとされている。
そして、トマトや桜えびには、抗酸化物質であるリコピンやアスタキサンチンが含まれている。内野院長は、アミロイドβ並みに怖い、ある種の脳のゴミとして活性酸素を挙げる。最近よく耳にする活性酸素は、普通の生活をしていても体内で発生する。これが過剰に発生すると、「さまざまな病気にかかるリスクが高まる」だけでなく、「アミロイドβの蓄積も促進」されるという。さらに、アミロイドβが活性酸素を作り出し、アルツハイマー病を発症するという研究報告もあるそうで、それを防ぐ抗酸化物質は、脳のおそうじの力強い味方になる。
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『記憶力アップ×集中力アップ×認知症予防
1日1杯脳のおそうじスープ』
内野勝行(うちの・かつゆき)
30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修した名医。帝京大学医学部医学科卒業後、都内の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て現在、金町駅前脳神経内科院長。脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた経験を基に、脳をクリーニングする「脳のおそうじスープ」を開発した。フジテレビ「めざましテレビ」やテレビ朝日「林修の今でしょ! 講座」などテレビ出演多数で、様々な医療情報番組の医療監修も務める。