30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修し、脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた内野勝行先生の著書『1日1杯 脳のおそうじスープ』から、衰えてきた脳に必要な「脳のクリーニング」についてご紹介します。

文 /内野勝行

中性脂肪や悪玉コレステロールを溜めず、サラサラ血液に

脳のゴミをおそうじする前に、大前提として血の巡りを良くしておくことが必要です。そうしないと、脳のゴミは血液の流れに乗って体外へと排出されません。 言い換えれば、“ドロドロ血液”もまた、脳のゴミの蓄積を招きます。たとえば、京都大学の研究グループによる研究(米国の科学誌「The Journal of Neuroscience」に掲載)では、軽度な脳血流の低下でも、それが長く続くことで軽度な認知機能障害になることが証明されています。

“ドロドロ血液”の原因は、中性脂肪や悪玉コレステロール( LDL-コレステロール)です。

食事から摂った油は、中性脂肪に変換されて体内(脂肪細胞内)に蓄えられます。脂質を摂り過ぎることで中性脂肪の分解が追いつかなくなり、分解されずに余ってしまった中性脂肪は血中を漂い、やがて体脂肪として体内に溜まっていきます。

健康診断などで「脂質異常症」と診断された経験のある方もいらっしゃるかと思いますが、それは血中に漂う中性脂肪の量が多過ぎるということです。

恐ろしいのは、中性脂肪は体脂肪だけでなく血管内にも溜まるので、蓄積すると、 血液の通り道が狭くなり、血流が滞ってしまうのです。

認知症の20~30%を占めるのが、脳梗塞や脳出血・くも膜下出血など、脳の血管の病気によって引き起こされる「脳血管型」です。したがって、血液をサラサラにしておくことも認知症の発症を抑える大切な要素なのです。

もうひとつの悪玉コレステロールも、中性脂肪と並び、血の巡りを悪化させる原因となる物質です。血中の悪玉コレステロールの量が多いと、血管内にプラークと呼ばれる脂肪(コレ ステロール)のかたまりができ、それが徐々に大きくなることで血管が詰まったり、 破裂したりします。

脳のゴミを溜めないためには、中性脂肪値やLDL-コレステロール値を定期的にチェックしておくことをおすすめします。

血液をサラサラにして おくことも認知症の発症を抑える大切な要素なのです。ちなみに最近は、血流だけではなく、リンパの流れとアミロイドβとの関連性にも注目が集まっています。

長らく脳組織にリンパ液の流れはないといわれていましたが、米国のロチェスター大学医療センターの研究者によってその説は覆され、脳組織にリンパ液の流れが認められることが証明されました。さらに、リンパの流れによってアミロイドβなどの脳の老廃物が排出される可能性が示唆されたのです。

これに関しては今後、さらなる研究が必要かと思いますが、リンパの流れを良くす ることにも留意しておくべきでしょう。

「脳のおそうじスープ」の“素”の作り方

【材料(約8杯分)】
・トマト:大1個(200g)
・蒸し大豆、くるみ:各50g
・桜えび:10g
・すりごま:大さじ3(18g)
・ツナ缶(ノンオイル):2缶(140g)
・塩:小さじ1(6g)
・中濃ソース:大さじ1(18g)
・こめ油:少々

【作り方】
1 トマトをおろし金ですりおろす。
2 蒸し大豆とくるみを保存袋(大)に入れてくるみを砕きながら揉む。
3 2に1とその他の材料を入れる。
4 揉み混ぜてから平らにして冷凍保存する。

スープを飲むときは、冷凍庫からスープの素を60gほど割って取り出し、熱湯150mlを注ぎ、こめ油を少し垂らす。摂る頻度は1日最低1杯、時間帯はいつでもかまわない。

なぜ「脳のおそうじスープ」は効くのか

内野院長は、このスープには「脳の状態を整えるうえで有効な栄養素や機能成分が余すところなく含まれています」と説く。

例えば、ツナ缶のマグロの脂に含まれるDHAやEPA。これらは、血液サラサラ効果が高い点で特筆すべき栄養素だという。実は、アミロイドβ=「脳のゴミ」対策の前提として必要なのが、「血の巡りを良くしておくこと」。血管内に中性脂肪や悪玉コレステロールが多いと、いわゆる「ドロドロ血液」になる。こうなると、脳のゴミは血流に乗って体外へと排出されにくくなってしまう。また、認知症の2~3割は、「脳梗塞や脳出血・くも膜下出血など、脳の血管の病気によって引き起こされる脳血管型」だそうで、その意味でも、血液をサラサラの状態に保っておくことは重要。そのため、ツナ缶はスープの主要素材の一つとされている。

そして、トマトや桜えびには、抗酸化物質であるリコピンやアスタキサンチンが含まれている。内野院長は、アミロイドβ並みに怖い、ある種の脳のゴミとして活性酸素を挙げる。最近よく耳にする活性酸素は、普通の生活をしていても体内で発生する。これが過剰に発生すると、「さまざまな病気にかかるリスクが高まる」だけでなく、「アミロイドβの蓄積も促進」されるという。さらに、アミロイドβが活性酸素を作り出し、アルツハイマー病を発症するという研究報告もあるそうで、それを防ぐ抗酸化物質は、脳のおそうじの力強い味方になる。

* * *

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内野勝行(うちの・かつゆき)
30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修した名医。帝京大学医学部医学科卒業後、都内の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て現在、金町駅前脳神経内科院長。脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた経験を基に、脳をクリーニングする「脳のおそうじスープ」を開発した。フジテレビ「めざましテレビ」やテレビ朝日「林修の今でしょ! 講座」などテレビ出演多数で、様々な医療情報番組の医療監修も務める。

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