30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修し、脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた内野勝行先生の著書『1日1杯 脳のおそうじスープ』から、衰えてきた脳に必要な「脳のクリーニング」についてご紹介します。

文 /内野勝行

脳トレより有効なのは、「感情に働きかける、体を使う活動」

私は脳トレより有効なのは、「感情に働きかける、体を使う活動」であると考えています。

私のクリニックでは、認知症の疑いがある患者さんには、脳トレではなく手先を使い、なおかつ脳も使うような“宿題”を出すようにしています。

2017年に開かれた脳の健康に関する国際会議(GCBH)でも、「人生の後半期に脳の機能を助けるためには脳トレよりも楽器の演奏やキルトのデザイン、庭いじりといった刺激的な活動を行うべきだ」との見解が示されています。

では、ここで私のクリニックを定期的に受診している患者さんを例にして、感情に働きかける、体を使う活動を具体的にご紹介していきたいと思います。

その患者さんは、もとは板金職人さんでした。ですから手先が器用であるという特性を生かしていただくため、 1か月に一度、折り紙を使った作品を作って持ってきていただくようにしました。その作品の数が増えるにつれ、患者さんの症状が改善されていったのです。ご本人はとても楽しそうに作品を作っていますし、私が作品を褒めると、とてもうれしそうな顔をします。この宿題は現在も継続していますが、どの作品も驚くほど完成度が高く、私の診察室にもいくつか飾らせていただいています。

このように、何らかの目標を設定した活動は、脳を活性化させます。この患者さんも、「私に作品を提出する」という目標があったからこそ、脳が活性化されて症状が収まったのだろうと考えています。もし、誰に見せるでもなく、黙々と作品を作り続けただけではあまり効果がなかったかもしれません。

もうひとつおすすめしたいのが料理です。料理は完成形をイメージして、材料を買いに行き、買いそろえた食材を切って、煮て、焼いて、調味料を入れて、味を調えてと、さまざまな段階で脳をフル稼働させる必要があります。そういう意味では、料理は最高レベルの脳トレと言えるのです。

また、作っているときはある種の高揚感も得られますし、自分が作った料理を誰かにごちそうしたときに「おいしい」と褒められれば、さらに喜びを感じますよね。もちろん、自分のために作った料理だとしても、おいしくできれば心地良い達成感を感じることができるはずです。こうした感情を伴った行動は、脳にとって非常に良い刺激となり、脳トレよりもずっと脳を活性化させる効果があるのです。

こうした私の体験を鑑みてご紹介したいのが、「脳のおそうじスープ」です。次の章で詳しく解説しますが、脳のゴミ「アミロイドβ」の蓄積を防ぐ成分を多く含んでいます。

スープを作る過程で脳が活性化するだけでなく、スープで摂取した栄養成分が内側から脳の働きを健全化してくれます。普段は料理をしないという方、料理はいつも家族の誰かに任せっきりという方も、 スープ作りにチャレンジして、ご家族にごちそうしてみてはいかがでしょうか? あまり乗り気でない脳トレを行うよりも、作って食べて、脳のゴミを簡単におそうじできると思いますよ。

「脳のおそうじスープ」の“素”の作り方

【材料(約8杯分)】
・トマト:大1個(200g)
・蒸し大豆、くるみ:各50g
・桜えび:10g
・すりごま:大さじ3(18g)
・ツナ缶(ノンオイル):2缶(140g)
・塩:小さじ1(6g)
・中濃ソース:大さじ1(6g)
・こめ油:少々

【作り方】
1 トマトをおろし金ですりおろす。
2 蒸し大豆とくるみを保存袋(大)に入れてくるみを砕きながら揉む。
3 2に1とその他の材料を入れる。
4 揉み混ぜてから平らにして冷凍保存する。

スープを飲むときは、冷凍庫からスープの素を60gほど割って取り出し、熱湯150mlを注ぎ、こめ油を少し垂らす。摂る頻度は1日最低1杯、時間帯はいつでもかまわない。

なぜ「脳のおそうじスープ」は効くのか

内野院長は、このスープには「脳の状態を整えるうえで有効な栄養素や機能成分が余すところなく含まれています」と説く。

例えば、ツナ缶のマグロの脂に含まれるDHAやEPA。これらは、血液サラサラ効果が高い点で特筆すべき栄養素だという。実は、アミロイドβ=「脳のゴミ」対策の前提として必要なのが、「血の巡りを良くしておくこと」。血管内に中性脂肪や悪玉コレステロールが多いと、いわゆる「ドロドロ血液」になる。こうなると、脳のゴミは血流に乗って体外へと排出されにくくなってしまう。また、認知症の2~3割は、「脳梗塞や脳出血・くも膜下出血など、脳の血管の病気によって引き起こされる脳血管型」だそうで、その意味でも、血液をサラサラの状態に保っておくことは重要。そのため、ツナ缶はスープの主要素材の一つとされている。

そして、トマトや桜えびには、抗酸化物質であるリコピンやアスタキサンチンが含まれている。内野院長は、アミロイドβ並みに怖い、ある種の脳のゴミとして活性酸素を挙げる。最近よく耳にする活性酸素は、普通の生活をしていても体内で発生する。これが過剰に発生すると、「さまざまな病気にかかるリスクが高まる」だけでなく、「アミロイドβの蓄積も促進」されるという。さらに、アミロイドβが活性酸素を作り出し、アルツハイマー病を発症するという研究報告もあるそうで、それを防ぐ抗酸化物質は、脳のおそうじの力強い味方になる。

* * *

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内野勝行(うちの・かつゆき)
30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修した名医。帝京大学医学部医学科卒業後、都内の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て現在、金町駅前脳神経内科院長。脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた経験を基に、脳をクリーニングする「脳のおそうじスープ」を開発した。フジテレビ「めざましテレビ」やテレビ朝日「林修の今でしょ! 講座」などテレビ出演多数で、様々な医療情報番組の医療監修も務める。

 

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