文 /内野勝行

30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修し、脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた内野勝行先生の著書『脳のおそうじスープ』から、衰えてきた脳に必要な「脳のクリーニング」についてご紹介しましょう。

「私、認知症じゃないでしょうか?」 私のクリニックには、このように認知症に不安を抱える方が連日来院されます。
「テレビで認知症の番組を見て心当たりがある症状があった」
「まわりの人に大丈夫? と言われた」など、来院されるきっかけはさまざまです。

そんな皆さんに私が最初にお聞きすることはいつも同じです。
「物忘れしますか?」
「ときどきあります」

このように答えた方は、認知症の可能性はほぼないだろうと判断します。

私が認知症を疑うのは、患者さんが「全くありません」と答えたとき。

もしかしたら、“物忘れをしていることを忘れている”可能性があるからです。
このように答えた患者さんのなかでも、自主的に来院された方はまだ症状が軽い可能性があります。

深刻なのは、家族などの第三者に受診を促されて来院された患者さんです。
なかには、頑なに物忘れすることを否定し、怒りを露わにするような方もいらっしゃいます。
ここまで症状が進行してしまうと、認知機能を取り戻すことは難しくなります。

しかし、認知症もほかの病気と同様、自覚症状がない、または軽い「未病」の段階で対策を講じれば進行を食い止めることが期待できるのです。 特に、遺伝性のものや、特定の疾患によって引き起こされるような特殊なケースは例外となりますが、一般的には、長年にわたり脳に悪影響を及ぼす“物質”が蓄積することで発症すると考えられています。
言い換えるとすれば「脳のゴミ」という表現が最適かと思います。

たとえば、認知症の原因として最も多いアルツハイマー病という病気は、 長い年月をかけて「脳のゴミ」が蓄積した結果、引き起こされると考えられています。

裏を返せば、「脳のゴミ」をできるだけ早い段階でクリーニングし、さらに、極力 ゴミを出さない生活習慣を続けることで脳の衰えを防げたり、先送りにできるということになります。

スタンフォード大学も証明する「脳のおそうじ」の効能

それでは、「脳のゴミ」とは一体どのようなものなのでしょうか?
近年もっとも注目を集めているのが、アミロイドβ(ベータ)という物質です。
後ほど詳しく解説しますが、簡単にいうと、脳に悪影響を及ぼす毒素で、脳細胞を死滅させ認知症を引き起こす“真犯人”と考えられています。
認知症を引き起こす病である「アルツハイマー病」も、アミロイドβ(ベータ)の蓄積によるものであることがわかっています。

こうした理由から、世界中の研究者たちは、認知症を克服するためにアミロイドβ(ベータ)をいかにして脳に溜めないか、排出するかに関しての研究を進めています。
たとえば、米国のスタンフォード大学では、アミロイドβ(ベータ)に関するさまざまな研究論文が発表されています。

特に有名なのが、スタンフォード大学西野精治教授の、睡眠とアミロイドβ(ベータ)との関係性に関する研究。

睡眠不足が続くとアミロイドβ(ベータ)がうまく排出されず脳内に蓄積し、認知症になるリスクが高まるというのです。

こういったことから、脳のゴミであるアミロイドβ(ベータ)を排出する〝脳のおそうじ〞が、 認知症を予防するうえで、非常に大切なポイントであることがわかると思います。

脳のゴミが溜まる最大原因は「栄養不足」

では、どうやって脳のゴミをそうじするのか。
それは薬に頼るのでも脳トレでもなく、先ほどお話しした、脳に「栄養」を与えることです。

脳のおそうじの基本は、栄養に偏りがない食事はもちろん、アミロイドβ(ベータ)の発生を防ぎ、排除をサポートする栄養素を毎日摂ることが大切だと私は考えます。

とはいえ、栄養バランスをとりながら、なおかつ脳をおそうじできる栄養素を含んだ食事を毎日作るなんて億劫ですよね。そこで私がおすすめしたいのが、必要な栄養素を含んだ食材をスープにしてしまうことです。

脳にいい栄養素というのはいくつかあって、それぞれの食材を個別に摂るのもいいのですが、それだと毎日続けるのが難しいと思います。

このスープなら、複数の食材(栄養素)を混ぜ合わせてお湯を注ぐだけで簡単にで きますし、栄養素の相乗効果が発揮されるので、単独で摂るよりも摂取効果が増します。
お腹も満たされるし、栄養バランスも整うし、脳のおそうじもできてしまう。まさにいいこと尽くめです。

また、スープなら、食が細くなった高齢の方でも食べやすい点もおすすめする理由のひとつ。

最近問題になっている、高齢者の方の低栄養も、脳のゴミを溜める引き金となるので、最低限必要な栄養素を補えるスープなら、その問題を解消してくれるでしょう。


内野勝行(うちの・かつゆき)
30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修した名医。
帝京大学医学部医学科卒業後、都内の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て現在、金町駅前脳神経内科院長。
脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた経験を基に、脳をクリーニングする「脳のおそうじスープ」を開発した。
フジテレビ「めざましテレビ」やテレビ朝日「林修の今でしょ! 講座」などテレビ出演多数で、様々な医療情報番組の医療監修も務める。

『記憶力アップ×集中力アップ×認知症予防
1日1杯脳のおそうじスープ

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