槐(エンジュ。マメ科の落葉高木)は「延寿」「縁授」とも記され、長寿と良縁をもたらす縁起のよい木として知られる。腐りにくく耐久性があり、木材特有のにおいも少ない。その特性を生かし、道東・美幌町に工房を構える「円舘工芸舎」代表の円舘金氏は、得意とする茶筒作りの技術を駆使して槐のコーヒー用キャニスターを作った。
「槐はかなり硬いので、加工が難しい素材です。私たち職人が自ら鍛冶を行ない、製品に合った加工用刃物を作っています」と円舘氏。
キャニスターの気密性確保に活躍するのは「合わせ」と呼ばれる技法。各工程の間に2~3か月の自然乾燥を挟みながら少しずつ整えることで、歪みや縮みを最小限に抑え、蓋と中蓋、本体がピタリとはまる精巧な作りに仕上がる。
置き場所に迷うメジャー(計量カップ)には、底を浮かせた状態で保管できる便利なスタンドを付けた。スタンド自体も分解できるため、隙間にコーヒー粉が詰まっても洗いやすいと評判も上々だ。
「槐の美しい木目を愛でつつ、森の中にいるような寛ぎの時間を過ごしていただけたら」と、円舘氏は本品に込めた想いを語る。
コーヒー愛飲者なら、日々使うメジャーとキャニスターは質のよいものをそろえておきたい。自分用はもちろん、大切な人の長寿の祝いにもふさわしい逸品である。
【今日の逸品】
北海道産槐のコーヒーメジャーとキャニスター
円舘工芸舎
33,000円(消費税込み)