著名人も続々と実践している「16時間断食」。体調が改善し、ダイエットにもなると、話題を呼んでいます。そこで、35万部突破のベストセラー『「空腹」こそ最強のクスリ』から、食べ過ぎのデメリットを学んでいきましょう。

文・青木 厚

一日3食は、気づかぬうちに「食べすぎ」を招く

さて、一日3食の弊害としては、ほかに、「食べすぎを招きやすい」ことが挙げられます。

「決まった時間に食事をする」というのは、一見健康によさそうですが、 「食べすぎに気づきにくい」という、大きなデメリットもあります。

体の状態は、その時々で異なります。たとえば、「前の食事が高カロリーだったため、あまり体がエネルギーを必要としていない」というときもあるでしょう。

そのような場合、本当は空腹を感じるまで待ってから、次の食事をとればいいのですが、決まった時間に食べることが習慣化していると、「今、空腹かどうか」「体がエネルギーを必要としているか」といったこととは関係なく食事をとるため、結果的に「食べすぎ」になってしまうことが多いのです。

しかも、胃には伸縮性があり、食べた量に合わせて膨らんでいきます。つまり、ふだんから慢性的に食べすぎている人の場合、「胃が膨らんでいる状態」が当たり前になっていて、「本来、体が必要としている量」以上の食べものも、どんどん受け入れてしまいます。そのため、よほど無理に食べものを詰め込まない限り、食べすぎていることに気づきにくいのです。

食べすぎは、DNAや細胞をも傷つける

そして食べすぎは、体にさまざまな影響をもたらします。まず、食べる量が多ければ、消化するのに時間とエネルギーが必要となり、どうしても胃腸や肝臓などに負担がかかります。特に夜、食べすぎてしまうと、本来休まなければならない内臓が、寝ている間も働かなければならなくなり、睡眠の質も低下します。

また、食べすぎは、体内の活性酸素を増やします。 活性酸素には「ものを酸化させる(錆びさせる)力」があり、それによって体内に侵入したウイルスや異物などを殺菌・排除しますが、一方で、活性酸素の攻撃は、身内(体内のDNAや細胞)をも傷つけます。

活性酸素が増える原因には、ストレスや紫外線、ウイルスや細菌、毒物などの異物の体内への侵入、過剰な運動など、さまざまなものがありますが、食べすぎもその一つだといわれています。

そして、活性酸素が必要以上に増えると、細胞が酸化されたり傷つけられたりするため、細胞の老化が進行し、お肌のシワやシミの原因となったり、細胞に障害が生じ、がんなどさまざまな病気が引き起こされたりする可能性があります。

ご飯や肉の食べすぎが、あなたの命を危険にさらす

それだけではありません。食べものから得た栄養分は、血液に乗って全身に運ばれますが、食べすぎによって血液中の栄養分が過剰になると、血液や血管の状態も悪くなります。

「食べすぎる人」のほとんどは、ご飯や麺類、パン、甘いものなど、「糖質」の多いものや、肉、油など、「脂質」の多いものを摂りすぎています。

そして、詳しいことは後でお話ししますが、糖質や脂質を過剰に摂れば、血液中の中性脂肪や、「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDL–コレステロールが増え、それらは血管壁に付着します。中性脂肪やLDL–コレステロールが付着すれば、それだけ血管は狭くなります。

その結果、血液の流れが悪くなり、

・栄養が体のすみずみまで行き渡らなくなったり、老廃物がきちんと排出されなくなったりするため、疲労や冷え、肌荒れなどが起こりやすくなる。
・血管や心臓に大きな負担がかかって血圧が高くなり、動脈硬化が生じて脳梗塞、心筋梗塞、脳出血、心不全などのリスクも高くなる。

といったことが起こりやすくなるのです。

さらに、糖質の多いものを食べすぎると、血糖値が高くなります。
その状態が続くと、糖尿病になるリスクも高くなるのです。

脂肪細胞は無限に増大していくから怖ろしい

さらにもう一つ。 食べすぎの弊害として、忘れてはならないのが、「内臓脂肪」です。

食べものによって得られた糖質や脂質は、
・脳や筋肉、内臓などが働く際のエネルギー源
・細胞の材料
として体内で使われますが、使い切れずに余った分は、いずれエネルギーとして使用するため、まず筋肉や肝臓に蓄えられます。

ところが、筋肉や肝臓の貯蔵スペースには限りがあり、あまりたくさん蓄えることができません。すると体は、筋肉や肝臓にも入りきらなかった余分なエネルギーを、おそるべき方法で蓄えようとします。エネルギーを中性脂肪に変え、脂肪細胞に蓄えてしまうのです。ずいぶん迷惑な方法ですが、仕方がありません。

脂肪細胞は柔軟性が高く、中性脂肪を取り込んで、もとの数倍の大きさにまで膨れ上がることができます。これが「脂肪がつく」「脂肪が増える」といわれる状態ですが、このように、 無限に容量を増やすことができるのは、人体の中では脂肪細胞だけなのです。

肥大化した脂肪細胞からは「TNF–α」や「IL–6」などの「悪玉ホルモン」が分泌されるようになり、糖尿病や高血圧、慢性炎症状態を導いてがんになるリスクも高くなります。

ちなみに、脂肪には大きく分けて、皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があります。皮下脂肪は、文字通り「皮膚の下にある脂肪」で、体表面全体を覆っており、内臓脂肪は、内臓周辺に蓄積しています。

全体的に脂肪がついたぽっちゃり体型の人は、皮下脂肪が多い人、やせているのに、お腹だけがぽっこりと出ている「メタボリック体型」の人は、内臓脂肪が多い人であるといえるでしょう。また、皮下脂肪は、どちらかといえば女性につきやすく、内臓脂肪は男性につきやすい、ともいえます。

増えすぎた脂肪が、血液やリンパの流れを悪くする

私たちは、脂肪を「ダイエットの敵」「健康の敵」と見なし、悪者扱いしてしまいがちですが、実は脂肪には、
・エネルギーを貯蔵する。
・体温を維持する。
・内臓の位置を保つ。
・クッション代わりとなって、外部の刺激から体を守る。
・ホルモンや胆汁などの原料となる。
・各種ビタミンの吸収を助ける。
といった働きがあります。

つまり、人間にとってなくてはならないものではあるのですが、脂肪が必要以上に増えすぎると、体にはさまざまな影響が生じます。

まず、脂肪がつき体重が増えると、見た目が変化するだけでなく、足腰に負担がかかって痛めやすくなります。
首まわりの脂肪が増えれば、気道が圧迫され、睡眠時無呼吸症候群に陥る可能性が高くなり、眠りが浅くなるでしょう。

さらに、血液やリンパの流れも悪くなります。

通常、食べものから摂取した栄養は血管から吸収され、体にとって不要なものや老廃物は、血管やリンパ管を通って体外に排出されます。ところが、肥大化した脂肪が血管やリンパ管を圧迫すると、血液やリンパの流れが悪くなり、心臓に負担がかかり、高血圧や心不全、むくみの原因となります。その結果、心臓病のリスクが高くなる、全身の各器官の働きが悪くなるなど、体にさまざまな不調が現れるようになるのです。

実は皮下脂肪よりもタチが悪い、 悪玉ホルモンを分泌しやすい内臓脂肪

また、あまり知られていないのですが、脂肪細胞にはさまざまなホルモンなどを分泌し、体の機能を調整するといった働きもあります。

通常は、
・女性ホルモンの「エストロゲン」
・食欲を抑え、エネルギー消費を増大させる「レプチン」
・傷ついた血管を修復したり、糖や脂肪を燃やしたり、腫瘍の増殖を抑えたりする「アディポネクチン」
など、体にいい作用を及ぼすホルモン(善玉ホルモン)を分泌しているのですが、 脂肪が大きくなると、ホルモン分泌のメカニズムが狂って、善玉ホルモンの分泌が減り、代わりに、

・血糖値を上げ、糖尿病にかかるリスクを高める「TNF–α」
・慢性炎症を引き起こし、がんや糖尿病、リウマチ発症の原因ともなる「IL–6」
・血栓(血管内にできる、血の塊)を溶けにくくする「PAI–1」(パイワン)
など、体に悪い作用を及ぼす「悪玉ホルモン」の分泌が増えます。

つまり、食べすぎによって脂肪が過剰に増えると、悪玉ホルモンの作用 により、
・血管の傷が修復されない。
・血栓が溶けない。
・腫瘍が増殖する。
・血糖値が高くなる

といったことが起こりやすくなり、糖尿病、脳出血、脳梗塞や心筋梗塞、 がんなどの病気を発症するリスクが高くなるのです。

なお、内臓脂肪は皮下脂肪に比べ、悪玉ホルモンを分泌しやすいことがわかっています。ぽっちゃり体型の人よりも、メタボリック体型の人のほうが、生活習慣病になりやすいといわれているのは、そのためです。

年齢を重ねるごとに、食べすぎのダメージは大きくなる


このように、一日3食の食生活、そして食べすぎは、体に大小さまざまなダメージを与えます。しかもそのダメージは、

・代謝が落ち、同じ量を食べていても「食べすぎ」になりやすくなる。
・細胞の老化が進み、体内の各器官や血管がもろくなる。
といった理由から、年齢を重ねるごとに、どんどん大きくなっていきます。

ではいったい、食事の回数や内容をどのようにすればいいのでしょう。どうすれば、食べすぎによる害を防ぐことができるのでしょうか。

もしかしたら、みなさんの中には、
「カロリー計算をしなければ」
「食べていいものと食べてはいけないものを考えなければ」
と思ってしまう人もいるかもしれませんが、そのような面倒なことを考える必要はまったくありません。もっとシンプルに、食べすぎによる害から体を守り、健康や若さを維持する方法があるのです

* * *

「一日3食」が習慣だからと、体の声を聞かずに食べていると、知らず知らずのうちに食べすぎを招き、年齢を重ねることに体にさまざまな悪影響を及ぼします。食べ過ぎを防ぐため、必ず3食にこだわらない食生活を実践してみてはいかがでしょうか。

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青木 厚(あおき・あつし)
医学博士。あおき内科 さいたま糖尿病クリニック院長。自治医科大学を経て、2015年青木内科・リハビリテーション科(2019年に現名称に)を開設。糖尿病、高血圧、脂質異常症など生活習慣病が専門。インスリン離脱やクスリを使わない治療に成功するなど、成果を挙げている。自身も40歳のときに舌がんを患うも完治。食事療法を実践してがんの再発を防いでいる。


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