とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの?など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第33回のテーマは、「汗」です。あんしん漢方の顧問である、西大條文一先生に教えてもらいました。
1.涼しい場所なのに私だけ汗が止まらない
清田さん 54歳女性 会社員の方からご質問を頂きました。
「電車やエレベーターの中や会議室などで、私一人だけ滝のような汗が止まらずに恥ずかしい思いをしています。周りの人は寒がるほど涼しい空間なのに、私だけハンカチで拭いても拭いても、汗がとめどなく流れ落ちてくるのです。
アイロンがけしたハンカチもすぐにびしょびしょになるので、いつもカバンのなかに2~3枚入れて持ち歩くようになりました。毎朝時間をかけているメイクは、流れる汗とそれを拭きとる行為の繰り返しで、出社する頃には落ちてしまいます。
大好きだったライトブルーのブラウスは、着ていると汗染みが気になってしまうのでタンスの肥やしになりました。気分が落ち込みます。この汗を止める方法を教えてください」
ご質問ありがとうございます。汗の症状は予期しないときにいきなり起こることが多いので、つらいですよね。 清田さんを悩ませるその汗、更年期症状かもしれません。
2.女性を悩ませる汗!その原因はホルモン分泌低下による自律神経の乱れ
異常な発汗は、更年期によくみられる代表的な症状のひとつです。50歳前後の更年期には、女性ホルモンのエストロゲンの分泌低下による様々なからだの変化が訪れます。汗が止まらないのは、いわゆる「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状です。
清田さんのように、いきなり滝のような汗をかくという症状があるなら要注意です。ホットフラッシュは昼夜問わず起こることもあり、自律神経が不安定になると生活にも大きな影響が出てきてしまいます。
また、その他の原因として、血圧や甲状腺の病気による影響も考えられますので、おかしいと思ったら専門の医師に相談することも大事です。
3.更年期の汗を和らげる3つの方法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.脱ぎ着しやすい衣服を選択する
脱ぎ着しやすく、さっと汗を拭けるような服装を心がけることで更年期の発汗による対処がしやすくなります。吸汗速乾系の肌着を着用するのもおすすめです。制汗スプレーなども併用しながら、汗とうまく付き合っていきましょう。
また、換気をこまめに行なったり、室内の環境を整えることで症状を軽減することができます。体温のコントロールをきちんと意識し、常にからだを最優先に考えていたわることも重要です。
3-2.適正体重をキープする
偏りすぎない健康的でバランスのいい食生活を心がけるとともに、激しすぎない程度に適度な運動を心がけるなど、生活習慣を改善しましょう。室内でできるストレッチやヨガなどもおすすめです。
過度なダイエットをする必要はありませんが、脂肪のつきやすいお菓子や油ものを控えるなど、太りにくい食生活でうまく適正体重を保ちましょう。
3-3.漢方で体質改善する!
「西洋薬は副作用が心配」
「一度飲み始めたらやめられないのではないかと不安」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
更年期のホットフラッシュなど、様々な症状に効果が認められている漢方薬は何種類もあります。
そもそも漢方は、人間のからだの営みに即した、自然の摂理を利用した治療法です。自然の恵みである動植物や鉱物の有効成分を見出して、それを人間の心身の症状の改善に役立てるために、長い歴史を経て確立されたものが漢方医学です。からだにやさしい成分で構成された薬のため、一般的に、西洋薬よりも副作用は少ないといわれています。
そして、漢方薬は表面に出ている症状や苦痛を緩和する対症療法だけでなく、不調の原因となっている体質を改善することを目的にしている点が特徴です。体質そのものに働きかけるため、根本的な解決につながります。そのため、同じ症状を繰り返したくないという思いにも応えてくれるでしょう。
バランスの良い食事や適度な運動を実践するのは難しい…という場合も、漢方薬なら、ご自身の症状や体質に合うものを毎日飲むだけです。そのため、どなたでも無理せず継続することが可能です。
以下に、汗に悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。
<汗に悩む女性におすすめの漢方薬>
発汗やのぼせ、めまいや頭痛の方に処方される漢方薬です。不安や不眠などの症状にも用いられます。
知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
汗ばんだり顔や手足がほてったりする方に用いられる漢方薬です。疲れやすい、むくみを感じる方にも処方されます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
のぼせなどのほか、湿疹や吹き出物といった皮膚症状の方にも用いられる漢方薬です。
ただ、漢方薬はその人の体質に合っていてこそ効果が現れるものです。体質に合っていないと、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。
とはいえ、自分に合う漢方薬を選ぶのはなかなか難しそうですよね。身近に相談場所がない場合、最近ではA Iを利用した「オンラインA I漢方」などのサービスも充実してきているので、こうした専門的なサービスを利用するのもいいでしょう。
効果と安全性が認められている漢方薬を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
4.更年期の汗を解消して過ごしやすい毎日を!
40~50代になって急に汗の症状に悩むようになったのなら、それは更年期症状の可能性があります。突然の発汗には誰しも慌ててしまうものです。更年期の症状をきちんと理解し、適切な対処を行いましょう。今回紹介した方法も参考にして、日常を過ごしやすく変えていきましょう!
<監修者>
漢方医 西大條 文一 (にしおおえだ ぶんいち)
金王坂クリニック院長、東方医学会会員、あんしん漢方顧問。古代から現代までの東西の医学史、医療史の研究をベースに、最新の免疫学、微生物学と漢方医学の知識を融合させた治療と臨床研究を行っている。
・金王坂クリニック オンライン外来: https://www.konnozakaclinic.com/service/online/
・あんしん漢方: https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0033
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