とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの?など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第32回のテーマは、「ほてり」です。あんしん漢方の顧問である、西大條文一先生に教えてもらいました。
1.熱はないのにからだが熱い…一人だけ顔が赤い…ほてりの悩み
マユミさん 51歳女性、会社員の方からご質問を頂きました。
「とくに何もしていないのに、突然顔がほてってしまい悩んでいます。オンライン会議をしているときに、ふと自分の顔を見たら、メンバーの中で私だけ顔が紅潮していてびっくりしました。
30代までは冷え性体質だったのですが、40代半ばからは顔のほてりだけでなく、からだに熱がこもったような不快感に襲われるようになり、仕事にも家事にも身が入りません。体温計で熱を測っても平熱なのに、体感温度が乱高下するような感じです。
ほてりを和らげようと外に出て風にあたってみたり薄着をしたりしましたが改善しません。ほてりを緩和するためのいい方法はないのでしょうか?」
ご質問ありがとうございます。ほてりの症状はいきなり起こることが多く、原因がわからないままだと不安ですよね。
マユミさんのようにいきなり「ほてり」や「のぼせ」を感じる方は、実は更年期症状の可能性があります。 いったい何が原因でほてりが起きるのかを解説していきましょう。
2.ほてりの原因はホルモン分泌の減少
50歳前後の女性のほてり症状は、更年期が原因の可能性があります。
このほてりはいわゆる「ホットフラッシュ」と呼ばれるもののひとつで、実に女性の6割以上が経験する症状です。いきなり数分間、熱やのぼせを感じ、からだがほてり、汗をかき始めるのが特徴です。こういった症状が1日に何度も起きる場合もあります。
このほてりの原因は、女性ホルモンバランスの乱れが影響しているといわれています。更年期を迎えると、エストロゲンという女性ホルモンが減少します。自律神経にも深い関わりがあるこのエストロゲンの分泌が低下すると、血管の収縮や拡張が上手くできなくなるため、様々な不調が起こってくるのです。
ただし、ほてりの症状は、更年期が原因のもの以外にも、甲状腺機能亢進症や自律神経失調症といった別の原因が隠れている場合もありますので、おかしいと思ったら自分で判断せず、専門の医師に診てもらいましょう。
3.更年期のほてりを緩和する 3つの方法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.食生活を改善する
辛いものや酸味が強いもの、熱い飲料など刺激の強いものは控えたほうがいいでしょう。ほてりを誘発する原因となり、更年期の女性にはよくありません。
逆に食べたほうがいいものとしては、大豆食品が挙げられます。大豆に含まれる大豆イソフラボンはエストロゲンに近い働きをするため、積極的に摂取するといいでしょう。豆腐や豆乳など、大豆イソフラボンを摂取できる食品は身近にたくさんあります。
もちろん、バランスのとれた食生活を意識することも大事です。なるべくからだに優しい食事を心がけると、更年期のほてりを和らげられます。
3-2.ストレスを溜めない
からだと心はつながっているため、心の不調はからだにも悪影響を与えます。そのため、更年期症状を和らげるためにはストレスを溜めない生活を心がけることも大切です。
朝に深呼吸をする、リラックスできる音楽をかけてみる、ペットと遊ぶ時間を作る、散歩などの軽い運動を行うなど、身近なことから負担にならない程度にストレス解消を心がけましょう。
習慣的に心のやすらぐ時間を作れば自然とからだもリラックスし、更年期症状のケアにもつながります。
3-3.漢方薬で体質改善をめざす!
「西洋薬は副作用が心配」
「一度飲み始めたらやめられないのではないかと不安」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
のぼせのような女性ホルモンの乱れによる症状に、効果が認められている漢方薬は何種類もあります。
漢方は人間のからだの営みに即した、自然の摂理を利用した治療法です。自然の恵みである動植物や鉱物の有効成分を見出して、それを人間の心身の症状の改善に役立てるために、長い歴史を経て確立されたものが漢方医学です。からだにやさしい成分で構成された薬のため、一般的に、西洋薬よりも副作用は少ないといわれています。
そして、漢方薬は表面に出ている症状や苦痛を緩和する対症療法だけでなく、不調の原因となっている体質を改善することを目的にしている点が特徴です。体質そのものに働きかけるため、根本的な解決につながります。そのため、同じ症状を繰り返したくないという思いにも応えてくれるでしょう。
バランスの良い食事や適度な運動を実践するのは難しい…という場合も、漢方薬なら、ご自身の症状や体質に合うものを毎日飲むだけです。そのため、どなたでも無理せず継続することが可能です。
<ほてりに悩む女性におすすめの漢方薬>
のぼせやイライラ、精神不安など心とからだの不調に用いられる漢方薬です。めまいや頭痛などに悩む方にも処方されます。
知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
疲れやすく体力のない方向き。顔が熱くなり汗ばむ方に用いられる漢方薬です。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
体力がある方向き。のぼせやすく末端の冷え性がある方に用いられる漢方薬です。
とはいえ、自分に合う漢方薬を選ぶのはなかなか難しそうですよね。身近に相談場所がない場合、最近ではA Iを利用した「オンラインA I漢方」などのサービスも充実してきているので、こうした専門的なサービスを利用するのもいいでしょう。
効果と安全性が認められている漢方薬を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
4.ほてりを解消して安心できる生活を!
更年期のつらい「ほてり」。放っておかずになるべく早めに対処することが肝心です。今回紹介した様々な方法でほてりを解消し、毎日の生活をストレスなく過ごしましょう!
<監修者>
漢方医 西大條 文一 (にしおおえだ ぶんいち)
金王坂クリニック院長、東方医学会会員、あんしん漢方顧問。古代から現代までの東西の医学史、医療史の研究をベースに、最新の免疫学、微生物学と漢方医学の知識を融合させた治療と臨床研究を行っている。
・金王坂クリニック オンライン外来: https://www.konnozakaclinic.com/service/online/
・あんしん漢方: https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0032
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