とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。

実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?

私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。

第41回のテーマは、「物忘れ」です。医師の木村眞樹子さんに教えてもらいました。

1.メモした場所を忘れて大失態!もう自分が嫌になる!

友里恵さん 51歳女性 会社員の方からご質問を頂きました。

「もともと記憶力はいい方ではなかったんですが、最近輪をかけて物忘れがひどくなって悩んでいます。人やモノの名前が出てこない、昨日の昼ご飯が思い出せないのは日常茶飯事。

先日は仕事の大切なプロジェクトのポイントを忘れないようにメモしたのにも関わらず、メモした場所を忘れてしまい、上司から『人の話を全然聞いてないんだな』と呆れられてしまいました。

すぐ忘れてしまう自分が嫌です。もうどうしようもできないくらいに精神的に追い込まれています」

ご質問ありがとうございます。物忘れの症状は周囲に迷惑をかけてしまうこともあり、つらいですよね。悩んでも解決にはならず、友里恵さんのように解決法が見つからず途方に暮れてしまう方も多いでしょう。

50歳前後の物忘れは、更年期による症状の可能性があります。 いったいどんな理由で物忘れが激しくなるのか、対処法も含めてご紹介していきます。

2.物忘れの原因は更年期にあり!女性ホルモン分泌の乱れの影響

更年期の代表的な症状には、ホットフラッシュと呼ばれる、のぼせやほてり、骨粗しょう症、うつや精神不安などがありますが、それらに並んで多いのが物忘れです。

閉経を挟む前後10年間、私たちのからだは大きな変化を迎えます。女性ホルモンの分泌バランスが崩れ、ただ低下するだけではなく乱高下しながらゆらぎを伴います。

そういったからだの急激な変調は、肉体、精神の両面に様々な不調をもたらします。

女性ホルモンのひとつであるエストロゲンには、セロトニンなどの神経伝達物質の量を増加し働きを高める役割があります。エストロゲンが減少すると、学習や記憶と関係する脳の海馬と呼ばれる組織や、記憶や感情に関わる扁桃体の処理の速度が落ち、物忘れが起きやすくなるといわれています。

ただ、よく似た症状で若年性認知症(65歳未満が発症する認知症)があります。いつまでも改善がみられなかったり、悪化したりする場合は大学病院などで検査してもらうことをおすすめします。

更年期症状と認知症による物忘れの違いとして、「物を忘れた自覚があるかどうか」という部分は重要です。たとえば相談者の友里恵さんの場合は、メモをした場所を忘れてしまったものの、「メモをしたこと自体」は覚えていますから、更年期症状の疑いのほうが強いといえます。

3.更年期症状による物忘れを改善する4つの方法

更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。

ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。

3-1.スマホやパソコンから離れる時間を作る

スマホやパソコンは現代社会の生活において欠かすことのできないものですが、脳内の情報処理には大きな負担をかけ、疲労を蓄積させます。

とくにSNS漬けの方は要注意。常にスマホを触っていないと気が済まないスマホ依存の生活を見直しましょう。

ほんの少しでも小休止を設けることで脳を休ませることができ、負担も軽減できます。

また、適度な気分転換は落ち着きやリラックス感を得ることができます。更年期症状はストレスも大きな原因になります。「病は気から」はあながち間違いではなく、ときには考えすぎずおおらかな気分で過ごすことも大事です。

3-2.ウォーキングなどの適度な運動

更年期症状に習慣的な軽い運動はおすすめです。からだと心のケアになり、日中の運動は睡眠導入にも効果的。正しい生活リズムを維持するのにも適しています。

更年期症状に向いている運動は、有酸素運動です。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど軽めの運動を行いましょう。また、ストレッチなど柔軟体操も合わせて行うといいでしょう。

逆に更年期症状に適さない運動は、からだに過度に負担をかけるような激しい運動です。普段運動をしていない人がいきなり急激な運動を行うと足腰、関節などに影響が出やすいので要注意です。

運動の頻度は1週間に3~4回程度が理想ですが、それがつらいと感じるなら無理をしなくても大丈夫。あくまで、自分のからだと相談しながら行いましょう。

3-3.ローヤルゼリーを摂取する

女性ホルモンのエストロゲン様作用(エストロゲンと似た働きをする)で注目されているのが、ローヤルゼリーです。更年期の諸症状を改善するといわれていて、更年期の物忘れやうつなどの神経症状の改善にも効果がみられたという研究結果があります。

ローヤルゼリーとハチミツは別物です。アミノ酸やビタミン、ミネラル、などのほか、特有成分も豊富に含まれ栄養の宝庫といわれます。栄養補助食品としても有名なので、「薬品に抵抗がある」という方に向いています。

3-4.更年期の物忘れを改善する!

「ホルモン補充療法には抵抗がある」「ナチュラルに体質改善したい」

そんな方には漢方薬がおすすめです。 漢方薬は自然の生薬を組み合わせて作られているため、一般的に、西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。

また、症状の緩和、苦痛を和らげるための対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すので、同じ症状を繰り返したくないという思いに応えてくれます。

バランスのとれた食事や運動などを毎日続けるのは苦手という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できるでしょう。

物忘れに悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。

<物忘れに悩む女性におすすめの漢方薬> 

帰脾湯(きひとう):加齢による物忘れを改善する、遠志(おんじ)が含まれる漢方薬です。不眠症、不安、貧血の方にも処方されます。

加味帰脾湯(かみきひとう):帰脾湯に柴胡(さいこ)と山梔子(さんしし)を加えたもので、寝汗、微熱、熱感など自律神経の興奮による熱を鎮めます。

天王補心丸 (てんのうほしんがん):物忘れのほか、精神不安や不眠症、自律神経失調症にも用いられる漢方薬です。体力のない方に処方されます。

ただし、漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることもあります。購入時には、できる限り漢方に精通した医師、薬剤師などにご相談ください。 お手頃価格で不調を改善したい、という方には医薬品の漢方がおすすめ。

スマホで気軽に専門家に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。漢方に詳しい薬剤師がAIを活用し、ご自身に効く漢方を、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。

4.更年期の物忘れをスッキリ改善!

物忘れがひどくなると、家族だけでなく他人とのトラブルが起きやすく、忘れてしまう自分が嫌になり自己嫌悪に陥ってしまうことも多くなります。しかし、更年期が原因の物忘れの場合、今回ご紹介したような更年期症状の対策をとれば、改善の可能性があるでしょう。

自分に合ったケアでいつまでも元気な心身をつくり、毎日を健やかに過ごして行きましょう!

<この記事を書いた人>


医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。
妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。
臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。
また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方): https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0041

記事内に登場した「あんしん漢方」とは?
「お手頃価格で不調を改善したい」「副作用が心配」というお悩みをお持ちの方のために、医薬品の漢方を、スマホひとつでご自宅にお届けするサービスです。AI(人工知能)を活用し、漢方のプロが最適な漢方を選別。オンラインでいつでも「個別相談」可能。しかも「お手頃価格で」ご提供。相談は無料。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)

 

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