ビジネスマナーは仕事を円滑にすすめる役割をはたしています。

一方で、「細かすぎるビジネスマナー、本当に必要?」「正直、面倒だなぁ」と疑問や不満を感じている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回、株式会社ビズヒッツ(https://bizhits.co.jp/)が運営するビジネス上の問題解決を考えるメディアBizHits(https://media.bizhits.co.jp/)は、働く男女500人に「不要だと思うビジネスマナー」についてアンケート調査を実施。
その結果をランキング形式でまとめました。

【調査概要】
調査対象:全国の働く男女
調査日:2021年1月16日
調査方法:インターネットによる任意回答
調査人数:500人(女性307人/男性193人)

ビジネスマナーに自信がある人は49.8%

10代以上の男女500人に「あなたはビジネスマナーに自信がありますか?」と質問したところ、ビジネスマナーに自信がある人とない人が、ほぼ半分ずつという結果でした。

若手(10~20代)、中堅(30代)、ベテラン(40代以上)の3つの世代にわけてみると、以下のような結果に。

「自信がある」「多少ある」と回答した人の割合は、意外にも、若手(10~20代)世代でもっとも多くなりました。

若手社員は新入社員研修で叩きこまれたビジネスマナーをまだしっかり覚えており、自信があるのかもしれませんね。

ビジネスマナーを知らずに恥ずかしい思いをしたことがある人は約3割

「ビジネスマナーを知らずに、恥ずかしい思いをしたことがありますか」と聞いたところ、3割近くの人が「ある」と答えました。

・敬語を使おうとしたあまり、変な日本語になってしまい、相手から笑われた(20代女性)
・名刺をどちらから出すかわからなくて、恥ずかしい思いをしました(40代男性)
・新入社員のころ、座席位置を知らずに、一番偉い人が座る位置に座ってしまった(50代男性)

「誤った言葉づかいを注意された」「名刺交換のマナーを知らなかった」「上座・下座を間違えた」というエピソードが多く寄せられました。

ただ「ビジネスマナーを知らなくて恥ずかしい経験をした」人のうち44.3%が、現在では「ビジネスマナーに自信がある」「多少ある」と回答しています。

恥ずかしい思いをバネに、ビジネスマナーを身につけた人も多いことがわかります。

不要と思うビジネスマナーがある人は69.2%

さらに、「不要と思うビジネスマナーがあるか」と質問しました。

「どのビジネスマナーも、物事を円滑に進めるために必要なもの」という回答もありましたが、70%近くの人が「不要と思うビジネスマナーがある」と答えました。

なお、「不要と思うマナーがある」と答えた人の割合を若手(10~20代)、中堅(30代)、ベテラン(40代以上)の3つの世代にわけてみた結果は、若手が67.6%、中堅が69.5%、ベテランが69.8%。

世代ごとの差はあまりありませんでした。

次からは、具体的にどんなビジネスマナーが不要だと思うのか、ランキング形式でご紹介します。

不要なビジネスマナーランキング

1位になったのは「名刺交換の所作(84人)」でした。

2位以下は「上座・下座の席次ルール(56人)」「言葉づかいや呼称のルール(55人)」と続きます。

「名刺交換」は、「ビジネスマナーを知らずに恥ずかしい思いをした」という質問でもコメントが数多くあがっており、社会人を悩ませるマナーの代表格と言えそうです。

以下、それぞれの項目を「不要だ」と思う理由について、詳しいコメントをご紹介します。

【1位 名刺交換の所作】
・名刺交換の時、上司が上にだすこと。立場の同じ人が譲り合いはじめて煩わしい(20代女性)
・名刺入れを持ちながら、両手で受け渡しお辞儀をする一連の流れが時間の無駄に感じる(30代女性)
・名刺の置き方。一言断って、さっさと名刺入れにしまってもいいと思う(40代男性)

「目下の人から渡す」「目上の人の名刺が上にくるように交換」「もらったあとに、名刺入れの上に載せる」など、細かなルールが多い名刺交換。

「無礼でない渡し方なら、何でもいいのでは」という意見が挙がりました。

「相手より下に出さなきゃ」「もらった名刺の置き方、合っているかな」と気にしすぎて、一番大切な「挨拶」がおろそかになってしまったら、本末転倒ですよね。

【2位 上座・下座の席次ルール】
・テレワークでの席次。ネット上でも上座、下座を気にするという風潮は理解できない(30代女性)
・エレベーター内の席次。エレベーターに乗るわずかな時間に立つ位置などの決め事は不要だと思う(40代男性)
・上座下座ではなく、会議資料などスクリーンに映し出すときに一番見やすい席をえらい人にするなど臨機応変に対応した方がいい(50代女性)

会議室や宴会だけではなく、車やエレベーター、果てはオンライン会議でもつきまとう「上座・下座」。

「どこが上座?」と悩んだり、「誰が上座に座るか」という譲り合いで時間がかかったりして、たしかに面倒ですよね。

ただ、「下座に座りたがる上司がいる」「席次をそれほど気にしない人が増えている」という回答も寄せられていることから、職場によっては席次のルールが「臨機応変」かつ「緩やか」になっていることも伺えました。

【3位 言葉づかいや呼称のルール】
・尊敬語や謙譲語を意識しながら、綺麗な文章を考えている時間がもったいない(20代女性)
・相手を呼ぶ際に、役職名をつけること。メール等を送る際に、いちいち「この人の今の役職は何だったかな」と調べるのが時間の無駄(30代男性)
・メールの挨拶文。用件のみ伝えた方が時短になり効率的(40代女性)

3位に入ったのは、「言葉遣いや呼称のルール」です。

とくに、「メールに入れる決まりきった挨拶文は不要」という意見が数多く見られました。

手早くやりとりしたいのに、「いつもお世話になっております。先日は~」などの定型的な挨拶を入れるとメールが長くなり、書く時間も余分にかかってしまいますよね。

メールをもらう側にとってもあまり意味がないようで、「挨拶はいいから早く本題に入ってくれ、と思う」というコメントが寄せられました。

【4位 服装やメイク】
・ボタンダウンのシャツがダメだという風習。センスがよいファッションであれば、許してもよいと思う(30代男性)
・女性だけ化粧とストッキングを履くこと。化粧をしていなくても清潔感があれば良いと思います(30代女性)
・夏でもネクタイ・ジャケット着用。顧客の前で汗ダラダラかいているほうが失礼に感じる(40代男性)

4位の「服装やメイク」では、とくに夏場の「スーツ」「ジャケット」「ネクタイ」についての意見が目立ちました。

「クールビズ」が浸透しつつありますが、「夏でもジャケット必須」という職場もまだまだ多いようです。

女性からは「化粧」「ストッキング」「パンプス」についての意見も寄せられました。

【5位 お辞儀ハンコ】
・わざわざ角度を調節しなくてはならないので時間がもったいない(20代男性)
・文字はまっすぐの状態が一番読みやすいので、このマナーは読みにくくするだけで、逆に迷惑(30代女性)
・まったくビジネス的な意味のない、不要な気遣いだから(50代女性)

5位に入ったのは、印鑑にお辞儀をさせる「お辞儀ハンコ」「ハンコ礼」です。

「お辞儀ハンコ」とは、決裁文書や稟議書をまわして順番に押印するとき、「目下の人のハンコが、目上の人のハンコにお辞儀をするように、角度をつけて押す」こと。

「意味がない」「手間」「上司への敬意はハンコの角度ではなく、態度で示せばいい」という意見が寄せられました。

【6位 季節の挨拶や贈答】
・部長→課長→直属の上司の順に毎年「本年も~」の挨拶回りは、伺う方も応答する方も無駄な儀式と思っているはず(30代男性)
・お年賀タオル。配っても使われない(50代女性)
・年末年始の挨拶まわり。毎年受けていましたが、「挨拶に来た、来ない」で企業への印象に差は持ちませんでした(60代以上男性)

【7位 お酒の席でのマナー】
・乾杯の時グラスを相手より低くすること。勢いよく乾杯!といきたいのに、いちいち気を使う(20代女性)
・瓶ビールを注ぐときは、ラベルを上にすること。マナーとされている以上はラベルを下にして注ぐと失礼だと思わせてしまうので、厄介(20代男性)
・上司にお酌をする。自分の飲みたいものくらい、自分でやったらいい(30代女性)

「乾杯のときのグラスの高さ」「瓶ビールのラベルを上にして注ぐ」「お酌や料理の取り分け」など、職場メンバーとの「お酒や食事の場」でのマナーが7位に入りました。

最初の乾杯から気をつかい、飲み会の間も上司を気にして過ごしていると、せっかくのお酒も料理も楽しめませんね。

「お酒の場でのマナーが不要だと思う」と回答した13人中11人が、今まさに上司に気を使っているのであろう20~30代でした。

* * *

「心がこもっていない」「誰に対する気遣いなのかわからない」ような形式的なマナーに対し、「不要だ」と考える人が多いとわかりました。

形式にとらわれるより、ビジネスマナーの本質である「相手への思いやりの気持ち」を大切にするほうが、相手からの信頼を得やすい気もしますね。

とはいえ、形式的なマナーを重視する職場では、上司や取引相手に合わせざるを得ないのが社会人のツライところ。

ビジネスマナーに厳しい職場で働いている人は、「面倒だなぁ」と思いながら嫌々するのではなく、「この相手には、敬意や気遣いを伝えるために、このマナーが必要なのだ」と割り切ってみてはいかがでしょうか。

「必要なことなのだ」と考えると、マナーの所作・作法だけが今よりもっとスムーズにできるようになり、仕事上のコミュニケーションも変わるかもしれません。

 

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