二十四節気でいう秋分を過ぎたところですが、秋分は昼夜の長さがほぼ同じになります。夏から秋にかけての季節の変わり目であり、急激な気温差により体調を崩しやすい時期でもあります。
また、秋は乾燥の季節になります。お肌の乾燥が気になっている人も増えているのではないでしょうか?
今回は乾燥による肌荒れに対する漢方薬・養生方法について、慶應義塾大学教授の渡辺賢治先生にお話を伺いました。
漢方医学では、肌荒れはどのように捉えるのでしょうか?
「乾燥の原因として、肌の乾燥は肌に与えられるべき栄養が不足している状態で、漢方では血虚証(けっきょしょう)の症状のひとつと考えることが多いでしょう。血虚の原因には、気虚により消化機能が低下して体全体の栄養状態が悪化していることや、栄養分を乗せて身体中をめぐるはずの血行が悪くなることで一部分が血虚となることが挙げられます。
血虚では、肌の乾燥の他にも皮膚の一部である爪がもろくなって割れたり髪の毛がいたんで抜けやすくなったりします。人によっては体がほてったり、眠れなくなったりするでしょう」
血が不足すると、肌が乾燥したりかゆみが起きるは意外でした。乾燥肌のかゆみに対して自分でできる養生法は何かあるのでしょうか?
「血虚証では、血が不足しているので、血の消耗を防ぎ、補うような養生が必要になってきます。
血を作る材料のひとつとして飲食物が必要であり、血を作ったり蓄えたりするには夜間が重要な時間とされています。
血虚の改善のためには充分に睡眠と栄養をとり、血を補う食材を食べるように心がけましょう。血を補う食材としては、にんじん、黒ごま、たこ、いか、ひじき、プルーンなどが挙げられます。
その他にも、乾燥肌のかゆみに対して基本的なこととして、熱すぎるお湯には入らないようにする、そして入浴後は保湿剤で保湿するなどの心掛けが大切です」