精進料理では生臭物を使った料理はタブー。そのため、野菜を使って、肉や魚に見立てた“もどき料理”が発展したと考えられています。
“もどき料理”といえば、潰した豆腐に野菜を混ぜて揚げたがんもどきが有名です。漢字で書くと「雁擬き」で、雁の肉の代用品として作られたのが始まりだと言われています。
今回ご紹介するのは、江戸時代の料理本『素人庖丁』に収録されている「イカうどんもどき」。精進の逆をいく、イカをうどんに見立てた料理で、江戸っ子の遊び心を感じずにはいられません。
では、実際に「イカうどんもどき」を作ってみましょう。
■「イカうどんもどき」の作り方
◎材料
生イカ 1杯(胴の部分のみ)
だし汁 120cc
シイタケ 適量
三つ葉 適量
錦糸卵 適量
■糖質オフダイエットに役立つ?
イカは糖質が少ない食材として知られています。糖質オフダイエットをしている方は、うどんの代わりに「イカうどんもどき」はいかがでしょう。お腹も膨れて、満足度も大!
ただし、“うどんもどき”とは言っても、似ているのは見た目だけで、味や食感はイカそのもの。美味しくいただけますが、うどんとは違う食べ物だったということはお伝えしておきます。
※『江戸料理読本』(著者・松下幸子/ちくま学芸文庫)、『完本 大江戸料理帖』(著者・福田浩 松藤庄平/新潮社)
※分量や細かい作り方は原本に記載されていないため、筆者が作った方法でご紹介しています。
文/小野寺佑子
撮影/五十嵐美弥