新着記事

病気予防の大ヒント!病気の発症・増悪をもたらす5大要素とは【予防医療の最前線】

文/中村康宏そもそも、どのようにして病気になるのか考えたことはありますか? 病気にな…

【夕刊サライ/角田光代】スペイン・マドリッド:マラソンは旅するいいわけ【旅ラン3】(角田光代の旅行コラム 第7回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。木…

林忠彦と土門拳、写真界の巨匠2人が作品対決!《昭和の目撃者 林忠彦×土門拳》展

文/編集部ともに戦前に報道写真家として出発した林忠彦(はやし・ただひこ、1918~1990)…

老後を自宅で過ごしたいなら「地域包括支援センター」知っておきたい基本のき

取材・文/坂口鈴香前回は有料老人ホームやサ高住など、自宅以外の老後の住まいについて解説し…

【第78回人形町らくだ亭】6月13日開催|五街道雲助が『つづら』を口演します

ベテランの噺家5人をレギュラーに据えた、『サライ』主催の落語会「人形町らくだ亭」。2018年6月の第…

泉鏡花が憑かれたように集めた兎の置物【文士の逸品No.16】

◎No.16:泉鏡花の兎の置物文/矢島裕紀彦神経症と言っていいくらいの、独自…

【インタビュー】横山はる江(青森「はるえ食堂」店主)名物焼きおにぎりの旨さの秘訣は?

【サライ・インタビュー】横山はる江さん(よこやま・はるえ、はるえ食堂店主)――青森の市場…

【夕刊サライ/テリー伊藤】「『ちょいフル中古車』でオトコを奮い立たせろ!」(テリー伊藤のクルマコラム 第7回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。水…

手でつまむか、箸で食べるか?握り寿司の上手な食べ方【食いしん坊の作法 第3回】 

文/山本益博江戸の古川柳に「握られて出来て食いつく鮨の飯」というのがあります。握り鮨…

アニリンバッファローレザー3wayドクターバッグ|堅牢なバッファローレザー製の鞄

日用から1泊程度の旅まで幅広く対応する、バッファローレザー(水牛の革)の上品な3ウェイバッグ…

サライ最新号

ピックアップ記事

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

夕刊サライ

【夕刊サライ/コウケンテツ】「世代へ受け継ぐ味」母の愛情がこもった野菜料理(コウケンテツの料理コラム 第2回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。金曜日は「美味・料理」をテーマに、コウケンテツさんが執筆します。

文・写真/コウケンテツ(料理家)

僕の好き嫌いをなくすきっかけとなった干し椎茸をはじめ、季節の食材を使うナムル。

何種類ものナムルにキムチといった、野菜たっぷりの常備菜が並んだ食卓。

僕が子どもの頃に見慣れていた、食事の風景です。兄も姉も、蒸したキャベツにご飯をのっけて、サムジャンという唐辛子味噌を塗って食べるのが好きで、「旨い、旨い」と、モリモリ食べていました。今思えば、手をかけた料理が何品も並ぶなんて、すごく豪華だし、贅沢。でも、心の中では「なんでこんなに、冷たい野菜ばっかり食べるんだろう。ヤギか、それともヒツジか!?」。まだ幼かった僕は、嫌で嫌で仕方ありませんでした。

僕がどう思っているかはさておき、母はとにかく「何を食べさせたら、子どもが元気になるか」ということばかり考えていました。実は、僕は子どもの頃、小児喘息で気管が弱かったんです。さらにアレルギー体質で、はっきり言って病弱でした。季節の変わり目になると、何日も続けて喘息の発作が出てしまい、入院を繰り返すこともありました。だから、当時、CMで大人気だったインスタント食品や、ジャンクフードは一切禁止。「気管にいい野菜だから」と、蓮根のお粥をよくつくってくれ、蓮根のスープは常に冷蔵庫につくり置きしてありました。僕はといえば、「なんで、こんなの飲まなあかんねん」と、まったく有り難みを分かっていなかったのですが……。

テストの点が悪かったり、多少の悪戯をしたりしても、人様に迷惑さえかけなければ怒らなかった両親ですが、食事を残すことだけは厳しく叱られました。それでも母は、冷蔵庫にとってあった肉を焼いてくれ、我が儘な僕がちゃんとご飯を食べられるように、いつも一生懸命だったなと思います。子ども心に、そんな母に対して後ろめたい気持ちも持っていました。それであるとき、ずっと大嫌いで避けていた料理を食べてみようと思ったんです。

忘れもしない「干し椎茸のナムル」。干し椎茸を戻して薄切りにして、胡麻油で炒めて、キンピラのように甘辛く味つけしたものです。恐る恐る口に運んでみると、「あれ、これ旨いぞ!」。小学2、3年生くらいだったと思います。それからは、好き嫌いがまったくなくなりました。

中学に入る頃には、喘息の症状も軽くなり、次第に風邪ひとつひかない丈夫な体に。まさに、母が息子のために頑張ってくれた、食養生の賜だったのです。中国もそうですが、韓国の人々は「気管を強くするために秋口には根菜を食べる」「春の山菜の苦味は、冬眠していた体がシャキッと目覚める合図」というようなことを、みんなが知っています。「なぜこの季節に、この食材を食べるのか」という知識は、子どもの頃から日常的に、母が教えてくれてきたことでした。

大人になった僕は料理家として、母から教わった知恵を多くの人に伝えています。病弱だった僕が、食のおかげで元気になったという実感がこもっているからこそ、みなさんに耳を傾けてもらえる。今の僕があるのは、母の「伝えたい」という気持ちのおかげなんです。

文・写真/コウケンテツ(料理家)
1974年、大阪生まれ。母は料理家の李映林。旬の素材を生かした簡単で健康的な料理を提案する。テレビや雑誌、講演会など多方面で活躍中。3人の子どもを持つ父親でもあり、親子の食育、男性の家事・育児参加、食を通じたコミュニケーションを広げる活動にも力を入れている。『李映林、コウ静子、コウケンテツ いつものかぞくごはん』(小学館)、『コウケンテツのおやつめし』シリーズ(クレヨンハウス)など著書多数。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. 【夕刊サライ/角田光代】スペイン・マドリッド:マラソンは旅するい…
  2. 【夕刊サライ/テリー伊藤】「『ちょいフル中古車』でオトコを奮い立…
  3. 【夕刊サライ/進藤晶子】断捨離がつなぐご近所とのネットワーク(進…
  4. 【夕刊サライ/山本昌】気持ちを整えるルーティンで強い自分を作る(…
  5. 【夕刊サライ/コウケンテツ】「世代へ受け継ぐ味」料理家・コウケン…
PAGE TOP