東京・初台『Anis』の肉料理が堪らない【新ひと皿の歳時記18】

取材・文/山本益博

東京・初台にあるレストラン『Anis(アニス)』は、肉好きには堪らない店である。たとえば1月のディナーの「肉」コースでは、豚、猪、鳩、牛、ほろほろ鳥と6種の肉料理が出される。

これを、オープンキッチンでひとりで調理し、ワインまでサービスするのが、オーナーシェフの清水将さん。フランスはパリの3つ星『アルページュ』ほかで修行し、とりわけ肉料理を熱心に学んできた。

『アルページュ』のアラン・パッサールシェフからは、伝統的ではない、ユニークな焼肉の調理法を教わったという清水シェフ。その要諦は「決して強火で肉を焼かないこと」。肉を火傷させない調理の秘伝を教わったという。

『Anis』のオープンキッチンでは、鉄板の上で時間をかけて火を入れてゆく。ある程度まで火が入ったあとは、肉によって、鉄板の上に藁を敷き、その上に肉をのせて、温めるようにして、優しく火を加えてゆく。その様子を見ながら、皿に向かうのがオープンキッチンならではで、とても楽しい。

さらに、これらの肉に添えられる野菜群が、思わず笑ってしまうほどに美味しい。また、添える食材が野菜ばかりか、猪には牡蠣を、赤牛には鮑を組み合わせる意外性。食べながら、ウーンと唸るばかり。

さんざん肉を食べたあとには、美しくも優しいサラダが待っている。

最後まで、考え尽くされたメニューをシェフひとりがやってのけるのというのは、すべての皿に責任をとるということでもある。こういうレストランが東京に存在するということを誇りに思いたい。

【今日のお店】
『Anis』
住所:東京都渋谷区初台1-9-7-1F
電話:03-6276-0026
営業時間:ランチ 11:30-14:30、ディナー 18:00-23:30
定休日:月曜日、第2日曜日
http://restaurant-anis.jp/access/

文/山本益博
料理評論家・落語評論家。1948年、東京生まれ。大学の卒論「桂文楽の世界」がそのまま出版され、評論家としての仕事をスタート。TV「花王名人劇場」(関西テレビ系列)のプロデューサーを務めた後、料理中心の評論活動に入る。

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