文・写真/山本益博
東京の大井町に、家族3人でまかなう小さな中国料理店『萬来園(ばんらいえん)』があります。大通りには面しているのですが、うっかりすると通りすぎてしまうような店構えです。お腹が空いているといっても、中華が食べたいなと思っても、きっと躊躇するまでもなくパスしてしまいそうな、そんな店構えなのです。
ところがその小さな店は、驚くほどの実力を秘めていました。
今回は、寺門ジモンさんがメンバーを揃えて予約を入れてくださいました。彼が当日のメニューをお店と相談して決めてくださったのですが、フカヒレはじめ豪華食材が揃う中、あえて普通の材料ばかりで、と頼んでおいてくださいました。
そうして供された、野菜炒め、餃子、肉団子、炒飯、そして麺の、なんと美味しかったこと!
中国まで勉強に出かけた息子さんが丁寧に仕込んだ材料を、お父さんが手際よく、それもあっという間に調理してしまいます。まさにゴールデンコンビです。
昼は炒飯や麺だけでも食べられるとのことです。カウンター席から調理を目の当たりにする中華料理は格別です。
【今日のお店】
『萬来園(ばんらいえん)』
住所:東京都品川区東大井5-6-8
営業時間:12:00~12:30(L.O)、17:30~21:30(L.O)
定休日:水曜日、日曜日
文/山本益博
料理評論家・落語評論家。1948年、東京生まれ。大学の卒論「桂文楽の世界」がそのまま出版され、評論家としての仕事をスタート。TV「花王名人劇場」(関西テレビ系列)のプロデューサーを務めた後、料理中心の評論活動に入る。