文・写真/山本益博
かつて、赤坂に『フリッツ』という洋食屋があった。「フリッツ」はフランス語の揚げ物フリットの複数形で、オーナーは昔フランス料理のシェフだった斎藤元志郎さんだった。事情があって店は閉店、揚げ物好きの私としては残念で仕方がなかったが、それが、場所と店主が変わって復活した。東京・春日駅からほど近い小石川えんま商店街の『洋食フリッツ』である。
うっかりすると通り過ぎてしまう店構え。というか、店は2階にあって目立たない。このハンデを背負ってはいるものの、一度食べたら通いたくなること必至の、シェフとマダム二人三脚の洋食屋さんである。
洋食屋の三本柱は「揚げもの」「煮こみもの」「ごはんもの」だが、フレンチやスパニッシュがベースの前菜から、デザートまでなんでもござれの洋食メニュー。私のお気に入りは「ロースとんかつ」「メンチカツ」「カキフライ」など。どれも香ばしく、素材の持ち味を十二分に生かしている。
食事の最後は「〆のカレー」。これが、お腹いっぱいでも鼻をくすぐる香りの高さで、質の高いごはんとシンプルにマッチする逸品である。
さらに、お持ち帰りできる「ヒレカツサンド」と「ビフカツサンド」がお薦め。翌日、冷めたカツがパンに馴染んで、美味いのなんの!
【今日のお店】
『洋食フリッツ』
■住所:文京区小石川2-25-16 LILIO小石川 2F
■営業時間:火曜日~金曜日:LUNCH / 11:30~15:00 / 14:00 LO DINNER / 18:00~22:30 / 21:30 LO
土曜日:LUNCH / 11:30~15:00 / 14:00 LO DINNER / 17:30~22:30 / 21:30 LO
日曜日・祝日:LUNCH / 11:30~15:00 / 14:00 LO DINNER / 17:30~21:30 / 20:30 LO
■定休日:月曜・第1/第3日曜
■電話・Fax : 03-3830-0235
http://fritts.jp/
文/山本益博
料理評論家・落語評論家。1948年、東京生まれ。大学の卒論「桂文楽の世界」がそのまま出版され、評論家としての仕事をスタート。TV「花王名人劇場」(関西テレビ系列)のプロデューサーを務めた後、料理中心の評論活動に入る。