■2本目:ワイン「アミオ・セルヴェル ブルゴーニュ・ピノノワール2008」
750ml(現行VT4000円前後)
フランスのブルゴーニュ地方、コート・ド・ニュイ地区のシャンボール・ミュジニー村――。
数あるブルゴーニュの村名ワインのなかでも最も優雅でエレガント、繊細にして女性的と称えられる、そんな赤ワインを生み出す、シャンボール・ミュジニー村に構えるドメーヌが「アミオ・セルヴェル」です。
1920年代に、クレマン・タショ―がシャンボール・ミュジニー村で栽培を始めたのが、現在のドメーヌの起源のようです。跡取り娘のセシルに婿入りとしてジャン・セルヴェルが入って後にドメーヌ名をセルヴェル・タショーに、さらにその跡取り娘のエリザベスに婿入りした現当主のクリスチャン・アミオが入って、1989年~1990年にアミオ・セルヴェルとなりました。まあ、見事なまでの女系の一族ですね。
アミオ夫妻には3人の子供がおりますが、またしても娘のプルーンさんが後を継ぐとのことですから、きっとまた名が変わるのでしょうか。いずれにしても、名実ともにシャンボールを代表する造り手のひとつであることは昔も今も変わりません。
今回紹介する赤ワインはスタンダードクラス。これも、シャンボール・ミュジニー村の葡萄しか使っていませんので、一般的なブルゴーニュ・ルージュよりもスケールが大きく、優雅な気品を備えています。
さて、鴨肉とピノノワールの相性のよさは絶対的ではありますが、「和食かつ椀物」という点で、どういった相性を見せるでしょうか。まず2008年の『アミオ・セルヴェル ブルゴーニュ・ルージュ』は気候的に特殊なヴィンテージだったわりに、数年前に入荷した直後の味わいでは、すでに優しく開いていました。
ちょうど、この年から有機栽培の延長にあるビオディミナ農法に切り替えていますので、何かしら効果が出ているのかと思っていましたが、そこは気難しいピノノワールです。
私が予想していたよりも少し閉じた硬質なニュアンスへと一時的に移行していたのが少し残念。とはいえ、十分に美味しく、カレー餡のほのかなスパイシーさと鴨の鉄分を多く含んだ味わいに対しては、やはりというか、抜群の相性の良さを見せてくれました。
まだしっかりと主張するタンニンは焼きナスの香ばしさとほどよくマッチ。理想を言えば、シャンボールの片鱗を感じさせるチャーミングな甘みがもっと前に出た状態であれば、本日の“ベスト・マリアージュ”と言えたのではないでしょうか。そのためには今の状態から推測すると、あと2~3年は必要かも知れませんね。
それにしても、この一番下のクラスでさえ、10年を経てなお若々しさを保つ「アミオ・セルヴェル」の力量も凄いのですが、開けてみるまでわからない熟成ワインの魅力も面白いものですね。
次はいよいよ日本酒「東北泉 雄町純米」を合わせてみましょう。
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