後引く旨さ!「さばのへしこ」を使った簡単酒肴の作り方【酒がすすむ醸し料理5】

文・写真/馬場吉成

福井県(若狭地方)の特産品である「へしこ」。糠に漬けることで魚の腐敗を防ぎ、冬の保存食として江戸時代の中ごろには既に作られていたとされています。

今では少なくなりましたが、以前は福井県内の多くの家庭で作られていたそうです。

へしこの語源については、漁師が魚を樽に漬け込むことを「へし込む」と言ったことからついたという説や、魚を塩漬けにして作る調味料「ひしお(醤、干潮)」が訛ったものという説など諸説あります。

漬け込む魚の種類は鰯やフグなど様々ありますが、最も親しまれているのが「さばのへしこ」です。

さばのへしこの作り方は、まず鯖の内臓やえらを取り除き2週間ほど塩漬けにします。この塩漬けにした鯖を、重石をして糠で1年ほど漬け込めば完成です。

通常、鯖を漬け込むのは秋から冬にかけておこなわれ、翌年の米が出来る頃に、その年の冬に食べる分が出来上がるという訳です。

冬から春を越え、暑い夏を過ぎて熟成され、美味しいさばのへしこになるのです。

さばのへしこの食べ方は、洗わずに糠を落としてから火で軽くあぶり、そのままを酒の肴としたり、お茶漬けにしたりして食べられます。

塩気は強いですが、その独特のクセと噛むほどに広がる旨味が後を引く。一切れあれば、日本酒や米の飯が何杯もいけそうな旨さです。

さばのへしこを食べる前には、事前に酒とご飯を大目に用意しておくことをオススメします。

では、さばのへしこを使ったオススメの料理を紹介します。さばのへしこの塩気と旨味を活かした「さばへしこバーニャカウダソース」です。

バーニャカウダといえば、オリーブ油、アンチョビ、にんにくで作ったソースを温めながら、野菜につけて食べるイタリア料理ですが、このソースを「さばのへしこ」を使って作ってみましょう。

【さばへしこバーニャカウダソースの材料】

・さばへしこ 3~4cmぐらい
・にんにく 大5かけ
・牛乳 1カップ
・オリーブオイル 1/4カップ
・塩 少々


まず、牛乳を鍋に入れて加熱して、煮立ったらみじん切りのニンニクを入れ、弱火にして10分ほどゆっくり煮ます。


続いて細かく刻んださばのへしこを入れます。


弱火で加熱しながら、さばのへしこを潰すようにしばらくかき混ぜます。


火を止めて荒熱が取れたら、オリーブオイルを少しずつ入れながらかき混ぜていきます。


最後に塩を加えて味を調整して「さばへしこバーニャカウダソース」の完成です。


冷めたら瓶に詰めて保存します。

出来たソースは、冷蔵庫で1週間ぐらい保存可能です。食べるときにはよくかき混ぜてから再び火にかけ、あたためてから食べてください。さばのへしこのクセのある旨味が牛乳とオリーブオイルで優しく包まれ、ニンニクの香りがそれを引き立てます。

スティック状に切った各種野菜につけて「バーニャカウダ」として楽しむだけでなく、パンやパスタに絡めても美味しいです。ぜひお試しを!

この「さばへしこのバーニャカウダソース」に合わせたのは、青森県十和田市にある鳩正宗酒造の『稲生 特別純米酒 華吹55』です。穏やかな果実的な甘味や旨味と共に感じる滑らかな酸味が、「さばへしこ」の風味とよく合いました。

次回は、最近話題の「煎酒」を使った簡単酒肴をご紹介します。お楽しみください。

文・写真/馬場吉成
webライター。日本酒、料理、マラソン、工学関係など幅広い分野で多数の記事を企画、執筆。日本酒と発酵食品を使った酒の肴をメインにした飲み屋も経営しています。「酒と醸し料理BY」http://kamoshi-by.tokyo/ ライターページ http://by-w.info/

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