遥かなる大陸の中央や辺境、台湾からも、日本めがけて押し寄せている「ガチ中華」の波。勁(つよ)くて旨い未知なる味に、今こそ出会う。
香辛料をまぶした羊肉の串や朝鮮族の延边料理が味わえる
羊肉の炭火串焼き

中国の東北部である遼寧省、吉林省、黒竜江省と内蒙古自治区東部で食されている料理を東北料理と呼ぶ。様々な民族が暮らすことから伝統的な中華料理とは異なる食文化がある。東京・新大久保にある『千里香(せんりこう)』は延边(えんぺん)料理の店。延边料理とは、北朝鮮と国境を接する吉林省の延边朝鮮族自治州の料理を意味する。独特の中朝ミックス料理である。
延边料理の看板メニューが羊肉串(ヤンロウツァン)で、唐辛子やクミンなど複数の香辛料を組み合わせた調味料で味付けをする。羊肉はカルビやスジ肉、腎臓など部位ごとに串刺しし、炭火で10分ほどじっくり焼き上げる。調味料は激辛から辛みなしまで好みで選ぶスタイルだ。肉の滋味がスパイスで引き立ち、香ばしさが追いかけてくる。

韓国料理とは異なるムチム
日本語で和える、混ぜるを意味する韓国語の「ムチム」。この店では白菜や胡瓜、牛肉、鱈の燻製など10種類以上のムチムを用意している。唐辛子も使っているが、辛さよりも甘酸っぱい味付けが、羊肉串の良い箸休めになる。また豚の腸詰めのスンデや冷麺なども、韓国風とはひと味違う旨さがある。

千里香 新大久保店

東京都新宿区百人町1-17-10常陽第二ビル2階
電話:03・5338・6918
営業時間:11時~翌5時(最終注文4時)
定休日:無休 40席。
交通:JR中央線大久保駅から徒歩約1分
覚えておくと便利なガチ中華用語集

※この記事は『サライ』本誌2025年3月号より転載しました。

