遥かなる大陸の中央や辺境、台湾からも、日本めがけて押し寄せている「ガチ中華」の波。勁(つよ)くて旨い未知なる味に、今こそ出会う。
朝食の定番・熱乾麵は中国五大麵のひとつ
熱乾麵(レッカンミェン)/三鮮豆皮(サンシェンドウピー)

(写真手前)三鮮豆皮(サンシェンドウピー):豚肉や野菜などの具材の味が糯米(もちごめ)に染み込み、薄焼きした卵で上品に包まれる。武漢では朝食時に三鮮豆皮の屋台が並ぶ。1600円。
2018年、東京・銀座に本格的な湖北料理専門店として開店した『珞珈壹号(かつかいちごう)』。湖北料理とは洞庭湖の北にある湖北省の料理で、省都は武漢である。武漢では、蒸す、茹でるという調理法を用いることが多く、スープや蒸しものなど、日本人の口に合う料理が多い。
湖北料理の筆頭に挙がるのが「熱乾麵(レッカンミェン)」。武漢人のソウルフードであり朝食の定番である。「熱乾麵」は四川の担担麵、山西の刀削麵(ダオシァオミェン)などと並ぶ中国五大麵のひとつ。胡麻ダレなどを麵に絡めて食す汁なし麵である。この店では黒胡麻のタレと自家製辣油(ラーユ) 、さらにピーナッツ、豚肉、ササゲ(隠元)の漬物などを盛りつけている。素早く混ぜて口に運べば、コシのある自家製麵に黒胡麻の風味と香りが纏わりつき、箸がとまらない。

伝統的な軽食「三鮮豆皮」
もうひとつの伝統的な軽食が「三鮮豆皮(サンシェンドウピー)」で、正月やお祭りの際の特別な料理が、今はおやつや朝食として親しまれている。薄く焼いた卵で糯米(もちごめ)に混ぜ込んだ叉焼や人参などを挟む、具だくさんの武漢風オムライスである。朝食は美味しく手早く外食するのが武漢スタイルなのだ。
珞珈壹号 銀座店

東京都中央区銀座5-8-9BINO銀座4階
電話:03・6263・8858
営業時間:11時30分~15時(最終注文14時30分)、17時~22時30分(最終注文21時30分)、祝日はランチのみ
定休日:無休 72席。
交通:東京メトロ銀座線ほか銀座駅から徒歩約5分
取材・文/関屋淳子 撮影/宮地 工
覚えておくと便利なガチ中華用語集

※この記事は『サライ』本誌2025年3月号より転載しました。

