ハーブとスパイスが溶け込むシャーベット状のスープ|ちぃりんご(神奈川県鎌倉市)
年々、暑くなる夏。汗だくになって辛いカレーを食べるよりも、冷たいカレーですっきりしたい。食欲がわかないときは冷たいカレーで乗り切りたい。そんなカレー好きの要望に応えるかのごとく冷やしカレーを出す店が増えている。
14年前、東京・原宿でカレー店を営んでいたまつもとちえこさんは、当初から薬効があるスパイスやハーブを使った冷やしカレーを模索。現在、鎌倉市のJR大船駅近くの店舗『ちぃりんご』で、夏限定の冷やしカレーを供している。
「夏を元気に過ごすために、抗酸化作用のあるカルダモンや、胃腸の調子を整えるクローブ、フェンネルなどを用いています。スパイスは粉状にすると冷やしたときに苦みが強く感じられるので、粒のまま使います」(まつもとさん)
温かい白飯と鶏肉、味付けした小松菜や人参、紫キャベツなどを盛り、鶏の手羽元で出汁を取り凍らせて霙(みぞれ)のようにした香草のスープをかける。このスープと生のカレーリーフ(ハーブ)を合わせてかき氷状にしたトマトをよく混ぜると、不思議なことにカレーの風味が口内に広がる。ここ数年は試行錯誤を繰り返して、その年に提供したい冷やしカレーを作っている。
ちぃりんご
神奈川県鎌倉市大船1-19-3昌和ビル104
電話:0467・44・0271
営業時間:11時~14時、土曜・日曜~14時30分(ともに最終注文)
定休日:火曜 13席。
交通:JR東海道本線大船駅より徒歩約5分
辛さがじわじわと押し寄せる、よく冷えた特製ルー|カリカル新橋本店(東京都港区)
昭和の面影が宿る新橋駅前ビル1号館地下の飲食店街。ここに店を構える『カリカル新橋本店』は昭和33年(1958)創業の古参のカレー店である。さらりとスパイシーな印度カレーと、辛みを抑えた欧風カレーを両輪に、夏は冷やしカレーを求める来店客も多い。
2000年代前半に先代店長が考案した冷やしカレーは、トマトの冷製パスタのさっぱり感を念頭に研究を重ねたという。辛めの印度カレーにさらに10種類のスパイスを加え、専用の器に入れて冷蔵庫で一晩寝かせ、目指すとろみに仕上げる。具材は刺激のあるチョリソーや海老、茄子、角切りのトマトなど。辛みと旨みが交互に押し寄せ、トマトの酸味がほどよく中和してくれる。
カリカル新橋本店
東京都港区新橋2-20-15新橋駅前ビル1号館地下1階
電話:03・3574・7283
営業時間:11時~22時(最終注文21時30分)、土曜・祝日10時~16時(最終注文15時30分)
定休日:日曜 20席。
交通:JR山手線新橋駅より徒歩約1分
ご飯もルーも冷たく仕上げ、全国展開で冷やしカレー文化を|チャンピオンカレー(石川県野々市市)
北陸を中心にチェーン展開する『チャンピオンカレー』。今夏、3代目となる冷やしカレーを石川県野々市市の本店をはじめ10店舗で提供している。
同店のカレーはとろみの強い濃厚なルーが特徴。その味を冷やしても美味しくするため、ラードの使用量を減らし、小麦粉をコーンスターチに替えて調整。さらにご飯も大きく改良しパラパラとほどける冷たい酢飯という、まさに新感覚のカレーである。さらに口の中をさっぱりさせてくれる「岩下の新生姜」を添え、食べ飽きない工夫も。冷やしカレー文化を広めていきたいと意気込む。
カレーのチャンピオン野々市本店
石川県野々市市高橋町20-17
電話:076・248・1497
営業時間:11時~23時(最終注文22時45分)
定休日:無休
交通:北陸鉄道石川線野々市工大前駅より徒歩約8分
撮影/藤田修平
※この記事は『サライ』本誌2024年8月号より転載しました。