幾度かの浮沈を経て日本の酒文化の西横綱に立った本格焼酎。研鑽を続ける蔵は今「香り」という領域で鎬を削り合う。焼酎の香りの魅力が際立つ6本を紹介する。

黒糖

(画像右から)

『喜界島 荒濾過 黒糖』喜界島酒造(鹿児島県大島郡喜界町)

地元では「くろちゅう」の愛称で親しまれる、奄美群島喜界島の酒である。常圧蒸留の伝統を守り、過度な濾過を控えることで、黒糖焼酎の本来のうま味を存分に引き出す。濃密なコクと甘い香りの中に、サトウキビ由来と思われる植物様のオイルを感じる佳酒。

25度900mL/1190円
問い合わせ:喜界島酒造 電話:0997・65・0251

『まーらん舟 25度』富田酒造場(鹿児島県奄美市)

奄美大島で、昔ながらの甕仕込みを守る蔵である。琉球王国の貿易を支えた馬鑑船(マーランせん)の名を冠するこの酒は、上質な徳之島産の黒糖を用いて造られる。常圧蒸留がうま味を存分に引き出し、とろみを感じる独特の飲み口。ロックにするとほどよい苦みが生じ心地よい。

25度720mL/2333円
問い合わせ:富田酒造場 電話:0997・52・0043

『奄美黒糖焼酎 奄美の杜』町田酒造(鹿児島県大島郡龍郷町)

奄美に移り住み、独特の画風の作品を残した田中一村の絵をラベルにあしらった酒。減圧蒸留の美麗な酒だが、少しカラメルのような香りが立ち、ストレートやロックだとどこかウイスキーを彷彿とさせる。炭酸で割ると、さらに香りが強まり、また違う表情となる。

25度72mL/1694円
問い合わせ:町田酒造 電話:0120・099・762

泡盛

(画像右から)

『古酒八重泉』八重泉酒造(沖縄県石垣市)

沖縄の八重山諸島のひとつ石垣島。そこで古くから伝わる直火釜での蒸留で、銘酒『八重泉』は造られる。本品は原酒を3年寝かせた古酒。バニラ、柑橘類を始めとした、無数の異なる香りが複雑に絡み合うが、そのどれもが酒の旨さに結びつく。

44度720nL/2750円
問い合わせ:八重泉酒造 電話:0120・800・032

『久米島の久米仙 ホワイト12年古酒』久米島の久米仙(沖縄県島尻郡久米島町)

久米島は、沖縄本島から西に約100kmの海上にある。名水を産することでも知られ、古くから酒造りが行なわれてきた。本品は、常圧蒸留で丁寧に造った原酒を、12年寝かせた古酒である。重さはなく透明感のある香り。飲み口に少しトースト様の香ばしさも含む。

35度mL/6930円
問い合わせ:久米島の久米仙 電話:098・985・2276

『まるた〔30度〕3年古酒』やんばる酒造(沖縄県国頭郡大宜味村)

世界自然遺産にも登録されている沖縄北部のやんばる地域。この森から湧く水で、通常より長い時間発酵させて昔ながらの常圧蒸留で造った3年古酒である。飲み口にはチャーミングなクリーム感がある。水割りにするとこれがなんとも心地よいコクへと変化する。

30度720mL/1560円
問い合わせ:やんばる酒造 電話:0980・44・3297

※この記事は『サライ』本誌2024年8月号より転載しました。

『サライ』2024年8月号特集は「本格焼酎は“香り”で味わう」

 

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