素焼きの後、蒸してから直火で焼く「鰻の白焼き」3600円。山葵を付け、塩か醤油で味わう。「ピークウイスキー」ハイボール400円。

玉泉堂の一升瓶ウイスキーが飲める鰻の名店

雄大な姿で日本の滝百選にも名を連ねる「養老の滝」で知られる岐阜県養老町で、養老山の伏流水を用いて酒造りを行なう玉泉堂酒造。蔵を代表する「醴泉(れいせん)」や「美濃菊」は、数量限定で醸す透明感が際立つ清酒である。

特筆すべきは、独自の配合で熟成させた一升瓶ウイスキー「ピークウイスキー」を、昭和50年(1975)代以降、変わらず世に送り出してきたこと。「ピークウイスキー」は、スコットランド産のモルト原酒を土台に、この地の清らかな水から生み出すグレーンスピリッツを独自の配合でブレンド。まろやかな飲み口で、一升瓶というスタイルもあり近年、ウイスキー愛好家の耳目を集めている。少量生産のうえ、他府県に多くは出荷していないため、味わえる飲食店は限られる。玉泉堂酒造の代表取締役社長・山田敦さん(63歳)に、地元で扱う店を紹介してもらった。

山田敦さん(右手前)。創業文化3年(1806)の玉泉堂酒造を、35歳で継ぎ当主に。日本全国のおいしいものを食べ歩く。『うおなか』には開業以来、友人たちと通う。
「ピークウイスキー」(1800ml、37度)のキャップには、蔵元直詰の文字が記される。

JR大垣駅からほど近い『うおなか』は、養老の鰻割烹『魚仲』から暖簾分けされた店。名古屋や大阪の料亭で修業を積んだ4代目の中村浩彰さん(56歳)が、令和4年(2022)に開業した。うな重やひつまぶしのほか、白焼きなどの鰻料理を堪能できる。

「鰻の長焼き(蒲焼)」2700円。鰻に串を打って、素焼きにし、その後、秘伝のタレをかけながら焼き上げる。1尾すべてを味わえる。

「国内有数の鰻産地・三河一色の鰻を仕入れ、頭から尾まで余さず料理にします」と中村さん。矢作川の清流を引きこみ育てられる一色産の鰻は、皮が柔らかで脂が軽やか。焼いても煮ても、深い滋味があふれ出すという。

「香ばしく焼いた鰻には、ハイボールを」と山田社長は薦める。和食との相性がいい「ピークウイスキー」は、鰻のもつ脂をさらりと流し、上品な余韻が香る。他に蒲焼きとたくあんのサラダなど、様々な料理に寄り添ってくれる。

手前から時計回りに、蒲焼とたくあん、トマト、大葉などを合わせたマヨネーズ味の「うなたく」500円。「鰻の頭煮」400円は、季節によってトマト煮や韓国風のピリ辛味に変わる。「若竹煮」1000円は、春の一品料理。そら豆も添えられる。

うおなか

岐阜県大垣市高砂町1-27
電話:050・8885・3060
営業時間:11時~14時、17時30分~21時
定休日:水曜、第1・第3木曜
交通:JR大垣駅から徒歩約10分

取材・文/中井シノブ 撮影/高嶋克郎
※この記事は『サライ』本誌2024年3月号より転載しました。

『サライ』2024年3月号の特集は『「ジャパニーズ・ウイスキー」新時代』。

 

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