「ご飯好き」を自任する方々が常備する、なくてはならぬとっておきの「めしのせ」を紹介。エピソードとともに語っていただいた。

暮らしの仲間「辛旨まさる漬け」

90歳の料理研究家が、60年以上も作り続ける、青唐辛子の漬物。
https://try-suru.shop-pro.jp 電話注文不可
1296円 1瓶/90g

NHKのEテレで『きょうの料理』を担当して25年、番組では料理の先生と後藤さんとのやりとり、とりわけ後藤さんの発するダジャレが名物。先生にうけることもあれば、何事もなかったかのように淡々と番組が進行することもある。「お塩はシオシオ(少々)ですね、とかつい出てしまいます。プロデューサーから“ダジャレは1回の放送で2回までにしてくれ”と冗談まじりに言われています(笑)」という後藤さんに、これまで印象に残った「めしのせ」についてたずねた。

「まず思い浮かぶのが、故郷の岐阜の長良川で獲れる鮎の佃煮ですね。やや小振りの鮎を甘辛く炊いてあり、これがご飯によく合います。食べるとふるさとの景色が浮かんできます。“風土のフード”といいますか……」

『きょうの料理』でたくさんの「めしのせ」を見てきた後藤さんであるが、究極の一品があるという。「土井善晴さんの塩むすびです。米と米の間に空気が入るように、ふわっと握ります。これがおいしい。味付けは塩だけなので、ご飯のおともといえるかどうか微妙ですが、ご飯をおいしく食べてもらいたいという、土井さんの心遣いを感じます。心遣いもご飯のおともといえるかもしれませんね」

辛さのなかから旨みが伝わる

後藤さんの最近のお気に入りが「辛旨まさる漬け」。考案したのは小林まさるさん(90歳)だ。『きょうの料理』に出演している料理研究家・小林まさみさんの義父で、70歳でまさみさんのアシスタントになり、自身も料理研究家として活躍中である。

「醤油ベースの調味料に漬け込んだ国産の青唐辛子に、国産のホタテのコクが加わり、辛さが際立つなかに旨みを感じます。この唐辛子1〜2本で一膳はいけます」

ごとう・しげよし
昭和26年、岐阜県生まれ。昭和50年にNHKに入局し鳥取、富山、札幌放送局を経て東京アナウンス室、NHK日本語センターに勤務。現在の担当番組は『きょうの料理』『ラジオ深夜便』。番組のインスタライブも人気。

取材・文/宇野正樹 撮影/湯浅立志 撮影協力/Cafe Lish
※この記事は『サライ』本誌2024年3月号より転載しました。

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著/山口恵以子 著/長船クニヒコ
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