ほんの少しご飯にのせるだけで、格別なおいしさと贅沢な気分をもたらすのが「めしのせ」。鰹節、梅干し、佃煮といった、普段は脇役の「めしのせ」を主役に仕立てる注目店を案内。
梅と星 (東京・浅草)
おみくじに見立てた、七福神が描かれた7本のしゃもじから、1本を選ぶ。しゃもじに描かれる神様で、常時21種類が用意された〝のっけ〟(ご飯のおとも)の3種が決まる。毘沙門天が出れば海苔・ねぎとろ・いぶりがっこ。寿老人なら塩昆布・明太子・そぼろ納豆という具合だ。さらに3種ある梅干しからひとつが選べ、豚汁なども付く。
その名も「おともみくじ定食」は名前や提供の仕方こそユニークだが、味は本格的だ。ご飯は3種の銘柄をブレンドした米を、羽釜でほぐれやすい固さに炊き上げる。
好みの“のっけ”を選ぶことも
全国から仕入れる“のっけ”は納豆、明太子などの定番だけでなく、熊本の南関揚げ山椒、口溶けのよい白いバターといった変わり種も。なにより、これほどまでの種類が一軒で揃うのがよい。好みののっけを自由に選べる定食もあり、ちょっと酒で……という気持ちももたげてくる。
「ビールに日本酒、梅干しサワーもありますので、おつまみにもどうぞ」と、店員の田宮広野さん(33歳)。ご飯好きにも飲兵衛にも使い勝手のいい店だ。
梅と星
住所:東京都台東区浅草2-2-4
電話:03・4400・8620
営業時間:9時〜17時(平日15時最終注文、土日祝16時30分最終注文)
定休日:月曜
カウンター14席
交通アクセス:東京メトロ銀座線浅草駅から徒歩約3分
取材・文/武内しんじ 撮影/貝塚 隆
※この記事は『サライ』本誌2024年3月号より転載しました。
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東京の片隅で夜だけ営業する「めしのせ食堂」を舞台にした、山口恵以子さんの新作小説。身近に起こりうる10編の物語と、そこに登場する「ご飯のおとも」の商品情報を、写真とともに紹介した“小説とお取り寄せ情報”の二本立て。商品のセレクトはご飯のおとも専門家として活躍する長船クニヒコさんによる。読んで満足、取り寄せて満腹になる、おいしい一冊をぜひお手元に。