自由な発想と組み合わせで成る 風土に根ざした野菜のフルコース

五條 源兵衛(五條)

「薫風」と名付けられた小豆を味わう料理(2人前)。小豆餡に添えられるナスタチウム(写真左上)はカイワレ大根のような味。

五條市にある新町通りは、江戸時代に交通の要衝として栄えたかつての伊勢街道。歴史ある町並みに、築250年の商家を再生した『五條 源兵衛』がある。周辺の30軒ほどの農家から寄せられる採れたて野菜を駆使するのは、店主で料理長の中谷曉人さん(41歳)。メニューはその日の野菜を見て、直感とひらめきで決めるという。

「五條の生産者は在来種を育てる方、特定の野菜だけを栽培する方などじつに個性的です。これまでは畑で食べた鮮烈な野菜の味を伝えてきましたが、開業から10年以上経ち、今は、野菜の組み合わせの妙を味わっていただきたいと思っています」(中谷さん)

「薫風」と称された皿は、敷き詰めた小豆の上に蓬豆腐とからし菜やコリアンダー、クレソンなどの野菜、小豆餡が盛られる。蓬豆腐と餡だけではデザートのようだが、野菜も一緒に食べることで甘い、辛い、苦い、酸っぱい、塩辛いの五味が生まれる。五條の風土や歴史、文化を料理で表現する中谷さん。進化する料理に目が離せない。

「白和え」(2人前)。セロリ、三つ葉、菊菜を別添えの白和え衣で、食べるときに混ぜる。上写真ともに3500円の昼コースから。

和歌山県橋本市出身の中谷曉人さん。割烹料理店店長を経て平成22年開業。一度の食事で40種類ほどの野菜が食べられる。

五條 源兵衛

町並みは重要伝統的建造物群保存地区。

五條市本町2-5-17 
電話:0747・23・5566
営業時間:11時~12時30分、12時30分~14時、17時30分~20時30分
定休日:火曜
予算:昼3500円~、夜6000円~ 20席。要予約。

JR奈良駅から大和路快速約15分の王寺駅で乗り換え、和歌山線約45分で五条駅下車後徒歩約15分。

撮影/大腰和則

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※この記事は『サライ』2022年6月号より転載しました。

 

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