奈良食材の潜在力を奥行きのあるフレンチに

ラ・フォルム ド エテルニテ(奈良市内)

夜の1万1000円のコースから。メインの大やまと和牛の低温ロースト。明日香村「たるたる農園」の葉玉ねぎ、曽爾村(そにむら)の原木椎茸を添えて(奥は調理前)。

近鉄奈良駅の北側、「きたまち」と呼ばれる界隈は、近年美味処の宝庫として注目されている。小さな商店街にあるこの店もそのひとつ。大阪で店を構えて10年、料理格付け誌で一ツ星を獲得後、出身地である奈良に5年前に移転した。郷土料理なども盛り込むフランス料理が楽しめる。

「じつは大阪の店では奈良の食材を使っていませんでしたし、これほど良質で個性的なものがあるとは知りませんでした。魚以外は何でも揃います。県内外の方にぜひ知ってもらいたいと思っています」

こう話す店主の永野良太さん(46歳)。素材を活かした料理で生産者と客を結び付けたいという。

永野さん渾身のひと皿は、「ウフ・アン・ムーレット」。ポーチドエッグを赤ワインのソースで絡めた、フランス・ブルゴーニュ地方の名物卵料理である。用いる卵は五條市のさかもと養鶏の白鳳卵。抗生物質を含まない飼料で育てるコクと甘みのある卵は濃厚なソースに負けない力強さがある。

赤ワインソースとポーチドエッグ、フォアグラ、ベーコンが重層的な味わいを生み出す、「ウフ・アン・ムーレット」。

野菜は生駒市や明日香村、曽爾村から調達し、牛肉は県産ブランドの大和牛。あえてサーロインよりも脂の少ないもも肉を使い、絶妙な火入れでその旨みを存分に引き出す。今、永野さんは山添村の大和羊のブランド化にも関わる。旨し羊がどのような料理に仕上がるのか、今から楽しみである。

デザートの「クープ・ド・ショコラ」。筒形のチョコレートビスケットを割り、ピスタチオのクリーム、チョコとバナナのソースで。

オーナーシェフの永野良太さん。調理師専門学校を経て大阪やフランスの料理店で修業。奈良は食材の宝庫と話す。

ラ・フォルム ド エテルニテ

ワインバーのような店内で、イタリア料理や多彩な豚肉料理と様々な酒を楽しめる。

奈良市花芝町7-2松村ビル1階
電話:0742・20・6933
営業時間:12時~13時(最終注文)、18時~20時(最終注文)
定休日:月曜、第1・第3日曜
予算:昼5000円~、夜8000円~ 14席。要予約。

近鉄線近鉄奈良駅から徒歩約3分、JR関西本線・奈良線奈良駅から徒歩約10分。

撮影/大腰和則

『サライ』6月号の大特集は「新緑の奈良大和路をゆく」。古代の人が、「まほろば」(理想郷)と讃えた奈良の自然の美しさ、『万葉集』に詠まれた史跡や仏閣、ロマンあふれる古代遺跡、美味処を訪ね歩きます。

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※この記事は『サライ』2022年6月号より転載しました。

 

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