もはや「ご飯のおかず」という考え方だけで食してはいけない。新たな可能性を探り続け、歴史に名を残すかもしれない店とは。

フレンチの肉料理をヒントにしてじっくり低温で揚げるロゼ色の肉

カツレツMATUMURA(愛知)

「雪室熟成豚フィレ肉低温カツレツ150g」の定食より。昼2750円、夜3080円。奥は香の物とキャベツのドレッシング。グラスワイン880円。
「ささみフィレ低温カツレツ」550円。「かつ前には繊細な白身肉をシャンパンとともに楽しんでほしいですね」(松村さん)

フレンチの肉料理を作るイメージがあったからこそ、とんかつ店に業態変更したと語るのは『カツレツMATUMURA』オーナーシェフの松村憲一さん(52歳)だ。

「フレンチの低温ローストは、低温の油でじっくり揚げていくとんかつと共通点があります」

ここでは自家製ラードをブレンドしたラードで120℃から揚げ始めていく。じっくり火を入れたヒレはきれいなロゼ色に仕上がり、ラードのコクが足されて凝縮した味わいだ。豚肉は長年使ってきた「雪室熟成豚」の中から、ご飯に合う風味を求めて雪室の天然冷蔵庫でウェットエイジングされたものを使っている。熟成され、「旨味はあるがクセがない」のが特徴だ。このカツレツには柔らかなタンニンの赤ワインが合うという。

フレンチ出身らしい逸品は他にもある。フレンチでは鶏の胸肉は高級な部位だが、その一部であるささみを使った料理も人気だ。その柔らかさや繊細な味わいを、揚げることでさらに引き出している。

ヘラの一種に肉をのせ、粗めのパン粉が飛び散らないよう優しく油の中に滑りこませる。火入れは休ませる時間も合わせて15分ほど。

愛知県名古屋市中村区名駅3-28-12 大名古屋ビルヂング3階
電話:052・433・1915
営業時間:11時~15時 (14時最終注文)、 17時~23時 (22 時最終注文)
定休日:大名古屋ビルヂングに準ずる
交通:JR東海道本線名古屋駅より徒歩約1分

※この記事は『サライ』2022年5月号より転載しました。

 

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