一口にチーズケーキといえども製法や味わいは多彩だ。巷で評判の、歴史を重ねた名店や新進気鋭の店が作る逸品を堪能したい。
バニラの優しい香りが広がるなめらかな舌触りのケーキ
神楽坂 ル コキヤージュ(東京)|テリーヌ ドゥ ショコラ オ フロマージュ
ゆるやかな坂道が続き、石畳が敷かれた東京・神楽坂の町並みは、フランス・パリのモンマルトルの丘を思わせる。路地裏の突き当たりにあるフランス料理店が、『神楽坂 ル コキヤージュ』だ。店名はフランス語で“貝”や“貝殻”を意味し、言葉の響きに惹かれたオーナーの娘さんの考案である。
同店のチーズケーキ「テリーヌドゥ ショコラ オ フロマージュ」は、北海道産のクリームチーズ、フランスのヴァローナ社の高品質なホワイトショコラなどを使用し、湯煎をしながら約30分、オーブンで焼き上げる。
このとき、ゆっくりと中まで火を通し、生地の水分を逃がさないことが重要。料理長・小川賢人さん(41歳)の卓越した技が、フランスの洋菓子、クレームブリュレを思わせる、とろけるような舌触りを実現させている。
香りづけにはマダガスカル産のバニラビーンズと、桜餅を思わせる芳醇な香りをもつトンカ豆を使用。同店は常時100種類以上のワインが用意されている。ケーキの香りを引き出すフランス産の白ワインと組み合わせて、とろりとした食感を存分に堪能したい。
●神楽坂 ル コキヤージュ
東京都新宿区神楽坂2-12-10
電話:050・3647・2075
営業時間:11時30分〜15時(最終注文14時)、18時〜22時(最終注文20時30分)
定休日:お盆、年末年始
交通:JR・東京メトロ飯田橋駅から徒歩約3分 30席。カード可。
取材・文/山内貴範 撮影/宮地 工
※この記事は『サライ』本誌2022年4月号より転載しました。