チーズケーキは、いつから日本人が好む人気の洋菓子となったのか。「レア」「ベイクド」「スフレ」の3大分類の源流を訪ねた。
レモン風味が香る親しみやすさ。青春を彷彿とさせる味覚の定番ケーキ
モロゾフ|デンマーククリームチーズケーキ
お菓子研究家の猫井登さんが語る「1970年代の第1次チーズケーキブーム」のきっかけを作ったのが、『モロゾフ』の「デンマーククリームチーズケーキ」だ。昭和44年の発売以来、半世紀以上にわたり同社を代表する洋菓子として販売が続く。
開発のきっかけは、当時の葛野友太郞社長が商用で訪ねたドイツでのこと。現地で「ケーゼクーヘン」と呼ばれるチーズケーキを食べて斬新な味に衝撃を受けたという。「これを日本で売りたい」と社長は思った。しかし、チーズの香りと味は当時の日本人にはなじみがなかった。そこでデンマークのメーカーに、口あたりよく改良したクリームチーズを特注して開発したという。レモン風味も効かせ、あっさりした味に仕上げた。
食べ継がれていく家庭の味
’70年代のチーズケーキブームで、全国で入手しやすい『モロゾフ』のチーズケーキは大ヒット、一躍『モロゾフ』の「顔」となった。同社広報の岩崎未来さんはこう語る。
「『モロゾフ』といえばチーズケーキというお客様が多く、食べ継がれている大定番です。これからも家庭の思い出の味になっていけたら嬉しいです」
●モロゾフ神戸本店
兵庫県神戸市中央区三宮町1-8-1
電話:078・391・8718
営業時間:11時〜20時
定休日:元日
交通:JR三ノ宮駅より徒歩約5分 46席。
販売店についての問い合わせ先 078・822・5533 ※取り寄せ不可。
取材・文/宇野正樹 撮影/小林禎弘
※この記事は『サライ』本誌2022年4月号より転載しました。