マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。

はじめに

ビジネスと友情は両立できるのか、気心の知れた友人と一緒に仕事をするのは魅力的である一方、友人関係と仕事の関係を区別できないと、思わぬ問題に発展することもあります。この記事では、友人と仕事をする際の注意点と、友情とビジネスを両立させるための方法を詳しく解説します。

友情とビジネスの区別がなぜ重要なのか

私たちは人生の中で、学校、部活動、地域コミュニティ、そして会社など、さまざまな集団に属し、多様な人間関係を築いています。会社と友人は、それぞれ異なる目的を持つ別のコミュニティです。友人とビジネスに関わる場合、この二つのコミュニティを明確に区別することが非常に重要です。

これは家族経営においても同様に当てはまります。親子や夫婦といった家族の関係を会社の運営にそのまま持ち込んでしまうと、組織が円滑に機能しなくなる可能性が高まります。友情とビジネスを区別できなければ、これまでの友人関係に甘えたり、自身の立場を誤認したりすることで、えこひいきや過度な配慮といった個人的な感情が意図せず生まれてしまうことがあります。

このような個人的な感情は、ビジネスと友情の双方に悪影響を及ぼします。友人同士の関係だけでなく、周囲の他の従業員にも影響が及び、結果としてチーム全体の仕事への集中力を阻害する要因になりかねません。友人関係とビジネス上の関係は、どちらも人生において重要なコミュニティです。それぞれを大切にすることは当然ですが、この二つのコミュニティを混同してしまうことで、かえって問題が大きくなってしまうのです。

会社における新たな関係構築の必要性

そもそも友人関係と会社組織は、それぞれ異なる目的と性質を持つコミュニティです。会社組織の目的は、その組織全体の成果を最大化すること、そしてそのための組織全体の成長と個人の成長を促すことにあります。ビジネスの場で友人と関わることは、決して友人関係を捨てることを意味するわけではありません

伝えたいのは、友人として接するべき時間は友人として、そしてビジネスの場においてはビジネス上の付き合いを優先すべきである、ということです。友情とビジネスを区別するためには、ビジネスにおける関係性を新たに構築する必要があります。このビジネス上の関係性の明確化ができていなければ、新たなビジネス上の関係性を意識することが難しくなり、無意識のうちにこれまで長く続いてきた友情関係を優先してしまう状況が起こり得ます。

多くの友人関係は対等な立場であり、コミュニケーションも比較的自由です。しかし、ビジネス上の関係は必ずしもそうではありません。会社には役職があり、部署が異なれば役割も責任も変わってきます。このような状況で友情を優先してしまうと、会社組織の中で自身の能力を十分に発揮し、活躍することは難しくなってしまうでしょう。

ビジネス上の関係を正しく構築するためのステップ

ビジネス上で上位の立場にある人や、その会社に先に在籍している人は、自身のビジネス上の新たな立場を意識し、それを相手に明確に伝える必要があります。反対に、下の立場になったり、新たに会社に入ったりする人も、自身の新たな立場と役割を正しく理解することが求められます。友人同士の双方が、この関係の切り替えを意識することが非常に重要です。

そのためには、会社内の上下関係や部署といった階層や責任範囲を正しく認識する必要があります。この関係構築ができていなければ、それぞれの責任範囲を正しく認識できず、お互いに無責任な行動や発言につながる可能性があります。結果として、上司や部下として適切な行動や発言ができなくなり、部門をまたいだ無責任な関わり方も生まれてしまうでしょう。

このような事態を避けるためにも、組織図を明確にすることが不可欠です。自身の上司が誰であるかを正しく認識し、自分の仕事が何であるのかという役割を明確にすることが求められます。友人関係を過度に意識するのではなく、会社の中での自身の立場や、自分が取り組むべき業務に集中できる環境を整える必要があるのです。

友情がビジネス関係に与える影響とその対策

友人同士の付き合いが長ければ長いほど、新たに構築しようとするビジネス上の関係に与える影響が大きくなることがあります。友人関係は常に同等な関係ばかりではなく、先輩・後輩といった友人関係が、会社内では上下関係が逆転するケースも存在します。しかし、友人関係における上下関係は、ビジネス上の上下関係とは無関係であることを理解しなければなりません。

特定の能力が自分よりも優れている友人を会社に招き入れるケースもあるでしょう。しかし、この場合においても、個人的な能力の優劣よりも、会社における上下関係が優先されるべきです。そのためには、前述の通り、組織図やそれぞれの役割を明確にすることが非常に重要です。

それに加えて、入社前に友人関係は維持しつつも、会社に友人の感情を持ち込まないことを互いに明確に約束しておく必要があります。もし、この約束ができないのであれば、そもそもビジネス上の関係になるべきではありません。この関係性を曖昧なままビジネスを開始してしまうと、仕事の関係がうまくいかないどころか、これまでの友人関係までも悪化させてしまう危険性があるため、十分に注意が必要です。

友人とビジネスを共にすることは、確かに良い面もありますが、同時に多くのデメリットが存在することも理解しておくべきです。あえて、友人とはビジネスを共同で行わないことも、一つの賢明な選択肢となり得ます。もし、友人とビジネスを行うと決めたのであれば、デメリットを正しく理解し、それに対する具体的な対策を講じた上で進めることが不可欠です。

まとめ:友情とビジネスを両立させるために

友人とビジネスの関係は、明確に区別することが肝要です。そのためには、ビジネス上の関係性を明確に定義し、それを正しく認識する必要があります。このビジネス上の関係性を正しく認識できていなければ、これまで長く続いてきた友人関係に意識が引きずられ、ビジネスの場で適切な行動を取ることができず、結果として成果を上げることが難しくなるでしょう。また、これは会社の他のメンバーにも悪影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

友情とビジネスという異なる性質を持つ二つの重要なコミュニティを共に良好なものにするためには、以下の3つの行動を徹底し、明確に区別することが求められます。

友情とビジネスを明確に区別する
・ビジネス上の関係性を明確にする
・個人の関係よりも会社の関係を優先する

これらの行動を徹底することで、友人とビジネスという異なる性質を持つ二つの重要なコミュニティが混同することがなくなるでしょう。二つのコミュニティを混同させないために、ビジネス上の関係を明確にすることが、友人関係とビジネス上の双方の関係において、優良な関係を構築するための鍵となります。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2025年
10月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店