最近、パソコンやスマートフォンの普及により、⾃ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか「読める、けれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く⼒が衰えたと実感することもあります。
この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能⼒を⾼く保つことにお役⽴てください。
「脳トレ漢字」今回は、「雪花菜」をご紹介します。豆腐料理を味わいながら漢字への造詣を深めてみてください。

「雪花菜」は何と読む?
「雪花菜」の読み方をご存じでしょうか?
正解は……
「おから」です。
一般的にはひらがなで「おから」と書かれることがほとんどで、スーパーの陳列棚でも漢字表記を見かけることは多くありません。そのため、「雪」という字に「花」に「菜」と三つも親しみのある漢字が並んでいるにもかかわらず、「読み方がピンと来ない」という人も多いはずです。
「雪花菜」は、「おから」と読むほか、「せっかさい」「きらず」とも読みます。「きらず」と読む場合も、意味は同じく「おから」のことを指します。包丁で切らずに使えることから「切らず」(きらず)と呼ばれたのが由来といわれています。
また、「おから」は「卯の花」と書き、「うのはな」と呼ぶこともあります。「卯の花」は主に料理名・惣菜名として、「卯の花和え」「卯の花炒り」などに使われることが多いです。
「雪花菜」の由来
では、なぜ「おから」に「雪花菜」という漢字が当てられたのでしょうか?
これは、その見た目に由来します。真っ白でふわふわとしたおからの様子を、降り積もる雪や白く咲く卯の花(ウツギの花)に見立てたものです。
「菜」は野菜やおかずを意味します。「雪の花のように白く美しいおかず」という意味合いが込められているのですね。「残りかす」という意味の「から」という言葉とは対照的に、漢字表記には日本人の美しい感性が宿っているといえるでしょう。

日本の食卓を支える「もったいない」の精神
最近では、SDGs(持続可能な開発目標)の観点や、健康志向の高まりから、「おからパウダー」などの形で「雪花菜」が再注目されています。食物繊維が豊富で低糖質、しかも安価。まさに現代人の悩みに寄り添うスーパーフードと言えるでしょう。昔から庶民の味方として親しまれ、「卯の花」という名で惣菜の定番にもなっていますね。
「残りもの」ではなく「雪の花」として愛でる。言葉一つで、そのものの価値が変わって見えるのが、日本語の面白いところですね。今夜の食卓に、卯の花の煮物や、おからハンバーグなどを並べてみてはいかがでしょうか。
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いかがでしたか? 今回の「雪花菜」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 白いおからを雪に見立てて季節を味わう、そんな豊かな感性を大切にしたいものです。
来週もお楽しみに。
●執筆/武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com











