マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。今回は、BX(ビジネス・トランスフォーメーション)を取り上げます。

「社内各チームの動きが連動していない」の課題感

経営者や管理職のみなさんは「会社が市場で勝つためにどうするか?」というテーマでイメージを膨らませ、「戦略を練り→事業計画を作成し→社内に落とし込み→達成に向けて動く」を実践しているはずです。そして、各部署の取り組みが連動して組織全体が戦略通りに成果を出す事をイメージします。

しかし、「うまく連動していない」と感じることはないでしょうか? もし、そう感じる事があるなら、今後部署や階層が増えるに従い、そう感じる機会は確実に増えていきます。

最近よく聞く言葉、BX(ビジネストランスフォーメーション)はそんな「連動していない」課題感を解決する手段として多くの企業が実践しています。今回はBXを正しく実践することで、「全体がうまく連動している」状態をいかに作っていくのかについて考えます。

BX(ビジネストランスフォーメーション)とは?

スイスのビジネススクールIMD(International institute for Management Development)の教授であるマイケル・ウェイドらによって提唱された概念です。 

組織の成果(業績)を高めるために、各部署の業務が連動することで、ビジネスモデル、プロセス、組織構造、文化、テクノロジーを包括的に変革することを指します。DX(デジタルトランスフォーメーション)を伴う場合がほとんどで、単なる業務効率改善やデジタル化のみならず、市場に対する企業価値の向上や社内の成長意識向上などにも繋げていくための仕組みです。

BX化成功のポイントその1:目的設定をする

どんな取り組みも、お客様の評価が上がらなければ意味がありません。

BX化することで、品質向上や企業価値の向上が進む仕組みが出来る環境作りが必要です。BMX(ビジネスモデルトランスフォーメーション)とも言います。

今あるサービス品質の向上のみならず、社会の変化に自社がどのように適応していくのか、新たなサービスや商品、新マーケットの創出等も生まれる環境が維持継続される仕組みが必要になります。

BX化することは、単なる業務効率向上ではなく、企業価値をどのように高めていく仕組みにするかという目的設定が重要です。目的を固めずに、進めると単なるシステム導入に終わってしまい、期待した成果を得られなくなってしまいます。

BX化成功のポイントその2:結果設定

・いつまでにどのような状態を作るのか?
・その結果、どのような成果を生むのか?

これらを明確に設定しなければ、BX化は成功しません。

ある部署が他の部署との連携や情報共有を求めることは多いでしょう。便利なツールが多々あり、活用し、運用ルールを設定し解決しているはずです。都度個別対応していることで、全体の動きとしては分散し、二重に作業が発生するなどロスが生まれることも多いです。そのためにも、BX化の完了及び成功した状態を明確に結果設定しておく必要があるのです。

BX化成功のポイントその3:適切な予算設定

BX化の目的と結果設定が出来たら、IT投資含め予算を設定する必要があります。結果設定とセットで自社にあった適切な予算設定をする必要があります。

BX化成功のポイントその4:責任者の決定

結果設定が完了したら、次は責任者を決めます。責任者不在のプロジェクトは成功しません。全体の責任者、担当セクション毎の責任者を決め、その責任を明確にします。

例)
・全体統括責任者
・システム責任者
・各部署の運用管理責任者

BX化成功のポイントその5:プラットフォーム選定・要件定義

BX化を実施する上で、DX(デジタルトランスフォーメーション)は不可欠です。各部署との連携、データ共有、進捗認識などを共通のプラットフォームで管理します。

例1)商品開発の企画状況→材料の発注状況→材料の入庫状況→製造の進捗状況

例2)マーケの集客状況→アポイント獲得状況→営業活動状況

など、前の工程が決まらないと次の工程に進めない、業務連携に必要な情報が常に共有されている状態を作ることが必要です。そのデータを踏まえた報告・承認の仕組みと連動させることで業務効率やスピード感を高め生産性を上げていきます。

どのようなプラットフォームを使い、どのように活用していくのかを、全体の連動性を取れるように組み立てる必要があります。

BX化成功のポイントその6:完了までのスケジュール設定

「いつまでにどのような手段でどのような状態を作るのか?」が決まったら、完了までのスケジュール設定が必要です。手前の小さいゴール設定から初めて、ゴールをクリアすることを繰り返し、最終的な完了に到達するスケジュール設定です。

小規模なプロジェクから開始し、成果を測定しながらスケールアップする、その全体のスケジュールを決めておく必要があります。

BX化成功のポイントその7:実施と進捗管理

全体の各工程に対し取り組む順番とスケジュールが決まったら、正しい進捗管理とします。定期的なフィードバックを基に改善を繰り返す状態を継続することです。

責任者は、定期的な管理の際に改善の動きを担当者と約束すること、そしてスケジュール全体に必要な修正を加えていくことが重要です。

BX化成功のポイントその8:完了後の運用ルール

BX化完了がゴールではありません。完了後に、組織の成果を上げるための運用ルールを仕組化する必要があります。ルール通り運用した上で改善する動きが継続される状態を、ルールとして設定しておく必要があります。

BX化成功のポイントその9:社内で醸成される成長意欲

仕組み通り運用され、成果が出れば、従業員の成長速度も高まってくるはずです。自身の成長を実感した従業員が更なる成長を目指すことに繋がります。その状態を維持するために、連動した評価の仕組みも重要になります。

まとめ

BX化を成功させるためには、自社の強み・方向性など企業価値向上に向けたあるべき姿を設定し、そこに紐づいた生産性向上の仕組みが必要です。そのために必要なシステムを導入し、運用ルール設定を行います

システム導入による生産性向上(DX化)のみではなく、導入後のマネジメントの仕組みを整え、全従業員の行動が最短距離で企業価値向上と成長意欲向上につながる環境を構築し実施する事が重要です。

そして、何より経営者には会社の未来を見据える時間が必要です。自社の企業価値向上のロードマップを策定する時間が無いままに、BX化を推し進めようとしても、成功は困難です。正しく組織が機能して、経営者が未来を見据える時間が増え、企業価値向上の動きを取る、そのサイクルが出来上がった時、組織はその可能性を最大化するために最速で進んでいるといえるでしょう。

さあ早速、目的設定から取り掛かりましょう!

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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