宇宙のイメージ写真

マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」では、今回、テスラやスペースXの創業者であるイーロン・マスクについて解説していきます。

* * *

「2035年までに人類を火星に移住可能にする」
「場所によっては自分の車を運転するのが違法になる日が来るだろう」
「人類を救うために、インターネット、エネルギー、宇宙産業で大きな企業をつくる」

上記の言葉は、今回紹介するイーロン・マスクの言葉です。

上記の言葉を見るだけでもマスク氏がいかに凄い人であるかがわかるのではないでしょうか。彼はふざけて「火星に移住する」や「人類を救う」などという言葉を使っているわけではありません。本気だからこそマスク氏は凄いのです。

本記事ではイーロン・マスクの半生や、どんな人間であるかなどを解説していきます。

イーロン・マスクとはどのような人物か?

イーロン・マスクは現在(2024年3月時点)52歳で、本名は「イーロン・リーヴ・マスク」といいます。

1971年に生まれた実業家でありエンジニア、そして投資家です。意外かもしれませんが、実はイ―ロン・マスクが生まれたのはアメリカではなく南アフリカ共和国なのです。

宇宙開発企業である「スペースX」と、電気自動車企業の「テスラ」、そして「PayPal」の前身である「X.com」の創設者として有名です。

また、2016年12月には、アメリカの経済誌「フォーブス誌」の世界で最も影響力のある人物ランキングで21位に選出されています。

さらに2019年には同誌の「アメリカで最も革新的なリーダー」ランキングでは、「Amazon.com」の創設者であるジェフ・ベゾスと並んで第1位の評価を受けています。

前人未到の個人資産3,000億ドル突破

お金持ちや億万長者としてイメージするのはビル・ゲイツかもしれません。現在では、イーロン・マスクもビリオネアとしても有名ですが、その規模は桁外れです。

イーロン・マスクの個人資産は一時3,000億ドルを超えていました。個人資産で3,000億ドル超えはこれまで誰も成し遂げたことがなかったため、前人未到の領域と言えるでしょう。2023年7月フォーブスの発表によると、2407億ドル(約34兆円)となっています。

イーロン・マスクの半生

イーロン・マスクは南アフリカ人の技術者の父と、カナダ生まれのモデル・栄養士の母親のもとに南アフリカで生まれました。

10歳のときにはコンピュータを購入してプログラミングを独学しており、12歳では最初の商業ソフトウェアであるBlasterを販売しています。

マスクは自身の幼少期について「子供の頃は自分が何をやりたいかなんてよく分かっていませんでした。少し大きくなると『何かを発明するって、ちょっとかっこいいな』と思うようになりました」と語っています。

「実存の危機」に陥る

イーロン・マスクは、若い頃に「実存の危機に陥っていた」と明かしています。

どういうことかというと「自分の存在にどんな意味があるのか? 自分が存在することの意味は?」といったことを自問し続けていたのです。

その結果、マスクは「もし、世界中にある知識を結集して、進化させて、人間の意識の規模と領域を広げることができれば、もっと陣地が開けるのではないだろうか。そうすれば人間は自らの存在意義についても、正しい問いかけができるようになるはずだ」という結論に至りました。

スタンフォード大学の大学院を2日で退学

イーロン・マスクは、ペンシルベニア大学で物理学と経済学を専攻しています。人間の意識の規模と領域を広げるために、地球と経済がどのような仕組みで動いているかを学ぶことがその目的でした。

その後、高エネルギー物理学を学ぶためにスタンフォード大学の大学院に進学しましたが、2日在籍しただけで退学してしまいました。その理由は、ちょうどその頃にインターネットが急速に普及し始めており、インターネットの世界に飛び込むことを決意したためです。

ちなみに、イギリスのタイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)による、2022年最新世界大学ランキングによると、マスク氏が入学したペンシルベニア大学は第13位にランクインしており、スタンフォード大学は第4位にランクインしているため、どちらも世界屈指の名門校といえます。

PayPalの創業

大学院を退学したイーロン・マスクはインターネットビジネスの世界に飛び込みますが、そこで成功させたのが「PayPal」です。マスクはPayPalを「全ての金融サービスをまとめて提供する場」にしようと考えていました。

また、バラバラに提供されている金融サービスをシームレスに統合することで、ユーザーにとって便利なサイトになると確信していたのです。そしてPayPal社は2002年にeBayに買収され、マスクは1億8,000万ドル(およそ200億円)を手にしました。

テスラの創業

イーロン・マスクはPayPalの次にどんな事業を立ち上げるべきかを考えるために、「人類の未来に最も大きく影響しそうな問題は何だろうか」と自問しました。

そこで最初に思いついたことが、エネルギー問題を解決するためのビジネスでした。現在、地球が抱える最も大きな問題は、持続可能なエネルギーをどのようにして確保するかにあります。

マスクは、このエネルギー問題を今世紀中に解決しなければ、人類は困難な状況に立たされると確信しました。そして、このアイデアから生まれたのが「テスラモーターズ」です。

スペースXの創業

そしてもう一つ、マスクは「人類が地球外に居住地を確保するのに貢献するビジネス」に挑戦しようと考えました。彼は、将来的に人類が複数の惑星で生活するようになるには、今、自分たちは何をするべきかを考えたといいます。

その結果、生まれたのがマスク氏のもう一つの代表的な企業である「スペースX」です。

イーロン・マスクの象徴的なエピソード

ここまで見てきたように、イーロン・マスクはPayPal、テスラ、スペースXなどの世界的な企業を立て続けに設立し続けてきました。

ここからはマスク氏の人物像がわかる象徴的なエピソードを紹介していきます。

・ロシアでICBM(大陸間弾道ミサイル)を買おうとする
・知識がない状態からロケットを開発する

それでは1つずつ解説していきます。

ロシアでICBM(大陸間弾道ミサイル)を買おうとする

イーロン・マスクの凄さを象徴するエピソードの一つに、ロシアでICBM(大陸間弾道ミサイル)を買おうとしたものがあります。結果的には買うことはできませんでしたが、マスクは本気でICBMを購入しようとしていました。

ミサイル購入の背景には、スペースXの宇宙ビジネスがありました。スペースXで宇宙ビジネスをするには、自分の力だけではロケット開発はできないと感じていたようで、「さすがの私もそこまでクレイジーではない」と語っています。そこで彼は、ロシアでICBMの中古再生品を買えないか検討したのです。

それが当時、マスクが買えるなかでは最も値段の安いロケットだったと語っていますが、ロシア側が提示した金額がミサイル一機2,000万ドル(およそ21億円)という法外な価格だったため、ミサイルの購入は断念しています。

知識がない状態からロケットを開発する

ICBMが買えなかったイーロン・マスクは、自分でロケットをつくるのは無理だと考えていました。そもそもマスク氏はモノを製造したことがなく、モノを製造するメーカーの経営もしたことがありません。

しかし、それでもマスク氏は諦めず、知識が全くない状態からロケットを開発することを決意します。もちろん、最初のうちは失敗続きで、3回打ち上げて3回とも失敗しており、3回目に失敗した際には「もうこれ以上、ロケットを製造するのは無理ではないかと思った」と語っています。

それでも彼は諦めず、失敗するごとに改善し続けて2008年には4回目の挑戦で、初めて打ち上げに成功したのです。

イーロン・マスク流、成功の秘訣

イーロン・マスクは数々の企業をつくりあげ、成功に導いています。そこでここでは、マスク流の成功の秘訣を紹介していきます。

・周囲の人からフィードバックをもらう
・「人類の未来に最も貢献できる事業」を考える
・最初にやるべきことは「試作品をつくること」
・優れたクリエイティブ感覚を持つ

それでは1つずつ解説していきます。

周囲の人からフィードバックをもらう

「カリスマ経営者」というようなイーロン・マスクのイメージからすると、これは意外かもしれませんが、彼は「周りの人からフィードバックをもらうというのは、とても大切なことです」と語っています。

さらにマスクは「もし、人からのアドバイスに耳を傾けていなかったら、おそらくPayPalは失敗していたでしょう」と語っているほど、フィードバックの重要性を説いているのです。

「人類の未来に最も貢献できる事業」を考える

イーロン・マスクはPayPalが軌道に乗ったあとに、テスラモーターズとスペースXを設立していますが、このとき彼は「人類の未来に最も貢献できる事業はなんだろう?」と考えていました。

一般的には人が会社を立ち上げる際には「最もお金が儲かりそうな事業はなんだろう?」と考えますよね。マスクはこうした「利益を基準にビジネスを選ぶこと」も間違いではないとしたうえで、お金を第一には考えなかったと語っています。

こうした考え方はAppleの創業者であるスティーブ・ジョブズにも通じるものがあり、ジョブズもまた「お金のためにやっているわけではない」と語っていました。

最初にやるべきことは「試作品をつくること」

イーロン・マスクは「起業する際には、未完成な状態だとしても、必ず現物の試作品を用意しましょう」と語っています。

マスクがこのように考える背景には、テスラモーターズでの経験がありました。マスクはテスラモーターズによって「スピードが出て、かっこいい電気自動車」を打ち出し、「こんな電気自動車もあるんだ」と示したかったと語っています。

しかし、今でこそ電気自動車は徐々に普及しつつありますが、当時の電気自動車に対するイメージは「ゴルフカートみたいなものでしょ。遅いしダサいし、短距離しか走れない」といったものでした。マスクはこうしたイメージを覆したいと考えていたのです。

プレゼンテーションやパワーポイントよりも試作品

そこで、普通であれば理論や計算を用いて事業がどれほどうまくいくかを示します。しかし、「早くてカッコいい電気自動車メーカー」というようなそれまでにない事業であれば、普通の人はイメージできず「想像もできないから投資判断ができない」となってしまうでしょう。

しかし、そこで現物を用意できればそのような事態には陥りません。プレゼンテーション資料ではどんな綺麗事でも語ることができ、パワーポイント上であればどんな計画でも実現可能です。

しかし、デモンストレーションできる試作品があれば、これに勝るものはありません。したがって、マスクは「投資家を説得するためには紙の資料なんかよりも、現物の試作品の方が何倍もの効果がある」と語っているのです。

優れたクリエイティブ感覚を持つ

「中川政七商店」や「くまモン」を手掛けたクリエイティブディレクターの水野学は、優れた企業の条件の一つとして、「トップのクリエイティブ感覚が優れていること」を挙げています。

そして、トップのクリエイティブ感覚が優れている企業の代表例としてイーロン・マスクのテスラモーターズや、ダイソン、Appleなどを挙げており、こうした企業は商品だけでなくさまざまなアウトプットに美意識が行き届いていると語っています。

まとめ

ここまで、イーロン・マスクの半生や、象徴的なエピソード、成功の秘訣を見てきました。

イーロン・マスクは突飛な行動や発言によって変わった人というイメージがありますが、その行動原理は明確であり、非常に論理的・合理的、そして創造的な人物であることがわかります。彼から学べるところはいくつもありますが、最も簡単に真似できる点は「諦めないところ」ではないでしょうか。

ゼロから始めたロケット開発に3度も失敗しても、なお諦めずに挑戦し続けて成功を収める姿には世界に衝撃を与えました。

【この記事を書いた人】
さかした/ライター・編集者
読書と健康と猫が好きなフリーライター。 アフィリエイトサイトやアドセンスブログの立ち上げ・運営・記事の執筆を行っていたが、現在はフリーライターとして活動。 得意な分野は健康・教養・ビジネス・自己啓発など。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/
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