長野県高山村は、松川の渓流沿いに8つの温泉が湧く温泉郷です。硫黄泉や塩化物泉、硫酸塩泉など、それぞれが個性を競う湯の里です。
その中のひとつが松川渓谷温泉です。「滝の湯」という天然野天岩風呂があり、日帰り利用もでき、宿泊も可能です。
茅葺の門が目印の温泉は、江戸時代には湯治客で賑わったとされ、泉質はカルシウム・ナトリウム‐硫酸塩・塩化物泉。湯船には湯の花が見え、肌をなめらかにするメタケイ酸が豊富という美肌の湯です。
全長17mという広々とした岩風呂の露天風呂は野性味にあふれます。渓流の水音や小鳥のさえずり、溢れるような緑が美しく、紅葉の頃も格別です。露天風呂は混浴ですが、男女ともにタオルを巻いて入るようになりますので、抵抗感もありません。
松川渓谷にはいくつかの滝がかかりますが、なかでも雷滝は別名「裏見の滝」と言い(下写真)、滝の裏側からその姿を見ることができます。約30mの滝の流れが一直線に滝壺に流れ込み迫力満点。滝のしぶきを存分に浴びて清涼感に包まれてみはいかがでしょうか。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。