【ひと皿の歳時記~第115回】
神楽坂『東白庵かりべ』のムースのような「そばがき」
「そばがき」は「蕎麦掻き」と書いて、蕎麦粉をお湯で溶き、掻き混ぜて作るところからその名がついています。蕎麦を細く長く切って味わう「蕎麦切り」以前の蕎麦の食べ方です。
通常、どの蕎麦屋さんでも、そばがきといえば、蕎麦粉の香りはあるものの、かたくしまったものが一般的です。
その点、東京・神楽坂に店を構える蕎麦店『東白庵かりべ』のそばがきはちょっと違います。そばがきに空気がいっぱい含まれていて、まるでフランス料理のムースのような食感なのです。かなりの力で素早く掻き混ぜないと、ムース状のそばがきは生まれません。
さらに「東白庵かりべ」では、2種のそばがきを楽しむことができます。
ひとつは、キメ細かな蕎麦粉で作るそばがき、もうひとつは、粗挽きした蕎麦粉を使ったそばがきです。舌触りこそ、冒頭で紹介したムース状のそばがき特有のフワフワ感はありませんが、馥郁たる蕎麦の香りを存分に楽しめます。
蕎麦は秋口に新蕎麦が出まわりますが、年を越したあたりから、蕎麦の実は熟成して旨味が増してきます。蕎麦は寒い冬の今こそ、食べ頃なんですね。
この店を訪れたら、そばがきを味わった後、蕎麦切りをこれまた2種類(せいろと田舎)いただき、さらにてんぷら蕎麦で締めくくるのが、私の流儀です。
店舗情報
店名 | 東白庵かりべ |
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住所 | 東京都新宿区若宮町11-7 |
TEL | 03-6317-0951 |
営業時間 | 平日 : 昼11時30分 ~ 14時30分(L.O.)、夜18時 ~ 22時(L.O.) 日・祝 : 11時30分 ~ 21時(L.O.) |
定休日 | 水曜日 |
URL | http://touhakuan.jp/ |