文/鈴木拓也
福井県で約30年にわたり、理学療法士(フィジカルセラピスト)として活躍している福田裕子さん。
寝たきりや認知症の高齢者を含め、これまで8万人以上もの人の、「立つ」「座る」「歩く」といった基本動作がラクにできるための運動を教えてきたという。
ちょっとした運動はおろか、立つことも困難な高齢者たちと日々接するなかで、福田さんは、誰もが無理なくできる動作改善法はないものだろうかと模索。
その切実な思いから生み出されたのが、「あるポーズをとって10秒止める」だけという「10秒ポーズ健康法」だ。
改善したい内容に応じて、ポーズには多くの種類はあるが、どれも「10秒間、同じポーズをとる」というのは共通している。福田さんはそれらを、著書『一生歩ける体をつくる10秒ポーズ健康法』にまとめている。
このメソッドは継続する必要はあるが、どれも80代、90代の高齢者でも無理なくできるものばかり。なのに「効果は絶大」で、続けていくうちに姿勢やプロポーションも確実に変わっていくそうで、まさに「一生の財産」だとも。
こんな革命的な健康法とは、どのようなものなのだろうか。以下、その一部を紹介したい。
■猫背が解消し、姿勢がよくなる「ヘソビーム」のポーズ
ヘソからビーム(光線)を出すつもりで、ヘソを前に向ける。あごを引いて、前を見て、頭を高く保つ。具体的な手順は、
1. 高めのイスに浅く腰かける。
2. 足の裏をきちんと床につける。
3. ヘソを見せるつもりで骨盤を起こす。10秒数える。
※背中の伸ばしすぎも、丸めすぎもNGなので注意。
■ちゃんと歩く力がつく「フラミンゴ」のポーズ
片足で立ち、太ももを引き上げる。具体的な手順は、
1. 片足で立ち、太ももを水平近くまで引き上げる。
2. 足裏全体で地面を感じながら、踏み込んだ力を使って頭を高く保つ。
3. 頭のてっぺんから足まで一直線になるように下腹に力を入れる。10秒数える。
※体を後ろに倒さないように注意。また、立っている方の脚をロックさせない。
■転びにくい体になる「ペンギン」のポーズ
両手でバランスをとりながら、両足のつま先を上げ、かかとで立つ。具体的な手順は、
1. 両足のつま先を上げ、かかとで立つ。
2. 前を見て、できるだけじっと止まる。
3. どうしてもふらつきそうになったら、パッと足を踏み出しても大丈夫。10秒数える。
※土踏まずより前の部分を、床につけないように注意。
* * *
いずれのポーズも、呼吸を止めないよう注意する。ポーズをとる前にゆっくり吸い、1、2、 3、4…10と、声に出しながら吐くと、呼吸を止めないで済む。
福田さんは、「汗がじんわりと吹き出してきて、あたたかくなり、スッキリした感覚が体に広がりはじめます」と述べ、これが体感できれば効いている証拠。今では、20代から百寿者まで多くの人が実践し、医者から「もう一生歩けないかもしれません」と言われた人が、外で歩ける事例まであるという、このメソッド。きつめの運動が難しい人こそ、トライしてみる価値はあるだろう。
【今日の健康に良い1冊】
『一生歩ける体をつくる10秒ポーズ健康法』
https://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=3195-9
(福田裕子著、本体1500円+税、サンマーク出版)
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。