貝が放つ独特の輝きが美しい螺鈿。富山県高岡市の高岡螺鈿は、全国に流通する螺鈿細工のうち約9割のシェアを誇る。そんな高岡螺鈿を長年牽引してきた武蔵川工房が、得意の「青貝塗」を駆使してかわいい小物入れを作った。
「青貝塗」とは、貝を0.1mmの薄さに加工し、漆器などに装飾として貼る技法のことで、貝が青く光って見えるため、そう呼ばれている。鮑貝を使用した本品は、特有の波打つ表面に光が立体的に反射し、ひときわ目を引く。
絵柄は和の美を代表する桜。あまりに人々に親しまれているこの題材をどう表現するかが腕の見せ所でもあったと、3代目の武蔵川義則氏は力説する。
「小さな丸形の漆器に曲線の流れをあしらうことで、鮑貝にさまざまな角度から光が当たるよう工夫しました。本来、工芸品は暮らしに寄り添う道具。この小物入れなら、和室はもちろん洋室のワンポイントとしてもなじむので、気軽に使っていただきたいですね」
蓋を開ければ金箔が現れるのもゴージャズなサプライズ。使うのがもったいないほど美しい、まさに芸術品である。お気に入りの小物を入れて使えば、暮らしに華やぎを添えられる。
【今日の逸品】
高岡漆器螺鈿小物入れ
武蔵川工房
41,800円(消費税8%込み)