仏前で手を合わせる際に鳴らす「おりん」。チーンと響くその音には、人々の邪念を払い、祈りを仏様のもとへ届ける役割があるといわれている。
仏具の生産地として、とりわけ歴史がある京都で仏具製造に携わる吉田治市商店では、仏教の教えは五感すべてで感じるものだと考えてきた。そのため、家族で訪れる墓参りにも“音”を提供することで、ご先祖様への感謝の気持ちをいっそう感じてもらいたいという思いから、僧侶が持つ携帯用の小さなおりんを手本に作ったのがこの「Hibiki」である。
大きさは手のひらにすっぽりと収まるサイズで、指を入れて持つためのリングが柄に付いている。さらに、リングを折り畳むことができるため、よりコンパクトに持ち運べるのが特徴だ。
ミニサイズだが、奏でる音は本格派。佐波理という、銅と錫を配合した合金を使用しているが、これは硬度が高く、澄み切った音色がよく響く最高級の材質である。さらに、おりんをのせるりん布団を薄く平らにして接地面積を狭くし、小さいサイズでも余韻が長くなるよう工夫されている。
その独特な音色は、自然と厳かな気持ちに導いてくれる道しるべ。墓参りに持参すれば、仏様との対話も一段と心に深く沁み入る。
【今日の逸品】
小さなおりん「Hibiki」
吉田治市商店
19,800円(消費税8%込み)