取材・文/坂口鈴香
前編では、超高齢者の多幸感とはどんなものなのか、なぜ起こるのかについて、老年行動学、老年心理学などの観点から考えてみた。
「超高齢になるまで待てない」「今、幸せになりたい」というサライ世代にも希望はある。後編では、そもそも幸福とは何なのか、中高年が幸せになるにはどうしたらよいのか、幸福学の研究から明らかにしてみよう。
幸せはUカーブ 「幸福学」研究から
幸福学を研究している慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司氏によると、「幸せはUカーブを描く」という(『実践ポジティブ心理学 幸せのサイエンス』(PHP新書)から)。
50代前半が谷底で、それから幸福度はぐんぐん上昇するというのだ。
定年後、お金は減っていく、社会的地位もない……それでも幸せと思えるのか? という疑問が湧くところだが、「お金や社会的地位といった『地位財』によって得られる幸せは長続きしません。健康や環境、夢や自己肯定感、感謝、楽観性など、周囲と比較することなく得られる『非地位財』による幸せは長く続くという研究結果があるのです」(前野氏)
幸福を感じる4因子とは
そもそも人が幸せだと感じるのはどんなときなのだろうか。
前野氏が幸せに寄与する心的要因について因子分析した結果、4つの因子に集約できたという。
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