蕎麦屋に入る前に、その店の味がどの程度のものか、わかるといいのだが、実際に食べてみないと、なかなか本当のところはつかめない。食べてガッカリする回数は、最小限にとどめたい。そこで、僕が実践している「蕎麦屋を目利する」コツを、お伝えしよう。
その店の蕎麦が、うまいか、あるいは少々問題ありかは、店の外観を見ただけで判断することは難しい。ただ、僕の場合、あまり格好の良い店は、敬遠するようにしている。特に繁華街にある、日本料理店のように立派な蕎麦屋は、ほとんど入ることはない。夜、店頭の竹林などがライトアップされて、作務衣を着た店員さんなどが出入りしている店は、避けて通る。理由は、これまでに何度も入ってみて、失敗した経験があるからだ。たぶん、酒を飲むなど、蕎麦を食べること以外の目的で行けば良い店なのだろう。
外観が汚れていたり、周辺に壊れた道具類やビールケースなどが放り出してある店を避けることは、言うまでもない。
また、立派なガラス張りのショーウインドーの中に、大きな石臼が回っている店も、ちょっと足を止めて、様子を観察するようにしている。石臼があればいいというものでもない。本来石臼は、客に見せるような性質の道具ではない。それを、これみよがしに見せている店は、かえって不安になったりする。しかし、中には良い店もあるので、慎重な判断が必要だ。
どうも否定的な意見ばかりで申し訳ないが、実際にこれらのことに、僕は注意しているのだ。