健康志向が高まる近年、ハイキングが趣味だという方も多いのではないだろうか。国内で気軽に楽しむのもいいが、思い切って海外の大自然の中を歩いてみるのはいかがだろう?
今回は、中国・四川省の絶景ハイキングコースを3つ、阪急交通社の松宮英範さんに教えていただいた。
■1:白き峰々が連なる花の楽園「四姑娘山(スーグーニャンサン)」
アバ・チベット族チャン族自治州にある山「四姑娘山」。この名は、チベットの四姉妹にちなんで名付けられたという。雄大な森林や池などを擁し、200種類以上の高山植物が咲き誇る景勝地として有名だ。
「ご記憶にある方も多いと思いますが、2008年に起きた四川大地震で、道という道が崩壊し、四姑娘山へ続く道も閉ざされました。これまで大人気エリアだった観光地は、一夜で陸の孤島となり、以降、2016年までツアーとしてはご紹介出来ませんでした。
そして、長い長い道のりを経て、昨年の10月ようやく、省道303が開通。この素晴らしい山々を間近にご覧いただける機会を得ることが出来たのです。
四姑娘山さんのハイキングポイントは、多くの高山植物を鑑賞できる点につきます。“楽園のフラワーウォッチング”と称されます。高山植物が咲くのは6月~8月上旬。この時期に訪れることをお勧めします。ただし標高が高いので、高山病対対策は欠かせません」(松宮さん)
■2:清らかな水と緑が織り成す神秘的な景観「九寨溝(キュウサイコウ)」
原生林の中に100以上の湖沼が集まる九寨溝。底が見えるほど澄み切った、エメラルドグリーンの水がとても美しい名所だ。世界自然遺産にも登録されている。
透明度の高い水の秘密は、石灰岩の地層に含まれている炭酸カルシウムの働きによるもの。湖底から湧き出す地下水を浄化することで、水中のチリを湖底に沈めてしまうのである。
「中国は美しい自然の宝庫の国、という新しい概念を皆に定着させた、唯一無二の場所が九寨溝です。エメラルドグリーンの湖、緑あふれる森林、美しいラインを描く山々……夢のような景観に、遊歩道がめぐらされて、とても観光しやすいのも特徴です。
公園内は、エコバスのみが走り、ポイントポイントで降りて、ハイキングを楽しむことが出来ます。標高も2000mとさほど高くないので、1年中、季節の変化を楽しむことが出来ます。
冬の雪景色も絶景ですが、一般的には、湖の水が豊富になる6月~8月がお勧めです。もうひとつは、紅葉で染まる秋の九寨溝。10~11月も素晴らしい。ぜひ、2度3度と訪れていただきたいエリアです。」(松宮さん)
■3:色彩豊かな棚田状の湖沼群「黄龍(コウリュウ)」
九寨溝と山を隔てた場所にある黄龍(コウリュウ)は、石灰岩でできた池が棚田状に広がっている。この一帯もまた世界自然遺産に登録されている。
中でも、658の小池が集まり、それぞれの池が艶を競い合うように輝いている「争艶彩池(そうえんさいち)」と、693もの池が蓮の花のように並ぶ「五彩池(ごさいち)」と呼ばれる場所は必見である。
「日本人には段々畑としか表現しようがない黄龍。稲穂の代わりに、美しい水をたたえています。すり鉢状の石灰岩の岩のお椀をいくつもドッキングした感じなのですが、不思議なのは、なぜ、水があんなに美しい色になっているのかということ。よく、絵の具をとかしたような、と言われますが、そういう意味ではパレットにも見えます。石灰質が色も支配しているとのことですが、ユニークさにかけては中国一ではないでしょうか。
黄龍は3000mをこえる高所にあり、これまでのハイキングは非常にきつかったのですが、近年ロープウェイがかけられ、地獄の上りを楽々、移動できるようになりました。絶景をみながら下るだけのハイキングになり、景色をゆっくり楽しむ余裕があるのも黄龍のいいところです」(松宮さん)
どこを切り取っても絵になる、中国・四川省の絶景ハイキングコース。昨年10月には「スーグーニャンロード」と呼ばれる省道が開通し、この辺りへのアクセスが格段に良くなったという。ぜひ、この機会に訪れてみてはいかがだろうか。何日か滞在して、すべて巡ってみて欲しい。
【九寨溝・黄龍と四姑娘山へのツアーについてのお問い合わせ】
阪急交通社トラピックス
電話 0570-08-8689
(ナビダイヤル/月~金は09:30-17:30、土日祝は09:30-13:30)
http://www.hankyu-travel.com/
【関連ツアー】
※ 天上の楽園で過ごす 九寨溝・黄龍と四姑娘山 9日間
文/オノハルコ(晴レノ日スタヂオ)